【第五話】▼続き ページ5
それから、俺が妖魔界を飛び出したのはいつだっただろうか。
確か次の大王を決める会議で、俺と兄の名が出てきたからでは無かったか。
兄は大臣達が推薦し、俺は父……閻魔大王とその従者ぬらりひょんが推薦した。
おっと、そういえば、まだぬらりひょんの事についてはあまり触れていなかったな。
ぬらりひょんっていうのは、父に仕える妖怪で妖怪評議会議長。
かなり長生きらしくて、眉目秀麗、頭脳明晰。
……頑固で真面目すぎるのが玉にキズだけど。
まぁいい、とにかく、その二人だけが俺を推挙した。
大臣達は勿論反対。
結局その会議は決着がつかぬまま終わったが、俺はその事を知った時心苦しかった。
どうして父は俺を大王にしたがるのだろう。
いくら大王でも俺を後継者にするのは不可能だと思うのだが。
そして、もし王位争いなんかに発展すれば、俺と兄は対決する事になる。
確実に負け、安寧では無くなるだろう。
それだけは絶対に避けたい。
ならばどうするか。
簡単な事だった。
俺が閻魔宮殿を出て行けば良い。
そうすれば兄しか王位後継者はいなくなる。
父とぬらりひょんは皆がどうにか説得してくれるだろう。
心を決めた俺は、慎重に計画を立て、旅支度のようなものをした。
資料を書室で集め、生きていくにはどうすれば良いのかを知ることにした。
そんな事を時間をかけて調べているうち、俺はほんの少しだけ成長してしまった。
近頃は更に対立が過激になってきている。
父と兄とはあまり会わず、それがどうしようもなく不安で、些細な陰口も耳に入ってくるようになった。
その事もあって嫌気がさし、俺は早く飛び出さなければと思い始めた。
俺は宮殿の皆が、一人残らず眠りについたある日の暁の頃に旅立った。
……見た事が無かった閻魔宮殿の外は、とてつもなく広かった。
しばらくは妖魔界でうろうろしていた。
行き先など決まっていなかったので、人間界へ行こうかとも思っていた。
何しろ、もてはやされた兄と違って民との交流などした事が無かったので、俺が誰なのか皆知らないだろう。
道中罠にはまった(物理)り、ぼったくられた事もあったが、次第にそれも慣れてきていた。
そして、いくつかの土地を見て周り住居に定めたのは、人間界の外れにある大きな森の中だった。
そこにはもう使われていない古びた小屋があり生活の拠点とするには丁度良い場所であった。
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紅夜叉 - 続き……ないんですか？ (8月20日 0時) (
レス) @page15 id: fd0ff1a17a (このIDを非表示/違反報告)
へきしょく(プロフ) - 面白いのでまた更新して欲しいです！ (2020年10月11日 22時) (レス) id: 800e455777 (このIDを非表示/違反報告)
宵月夜(プロフ) - コメントしていただきありがとうございます！！ご期待に添えるように頑張ります！！ (2019年3月10日 18時) (レス) id: 535f385a7d (このIDを非表示/違反報告)
魔戒 - 面白いです頑張ってください (2019年3月10日 16時) (レス) id: b1d63bb0ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：宵月夜 | 作成日時：2019年3月10日 12時
