【雪男】俺らのイケメンマネージャー【男主】 (ページ8)

今日:35 hit、昨日:55 hit、合計:478,202 hit

＊ページ8

一切頭を下げようとしなかった遊馬さんをチラリと横目で見る。そこ顔はやっぱり怒っているように見えた。
もしかして、俺が勧誘に乗ろうとしたと勘違いしてる…？

阿「あ、遊馬さん…？俺、あんなこと言わなくても他の事務所になんて行きませんよ…？」

『ふふ、わかってますよ』

そう言って遊馬さんは俺の肩に置かれた手を離す。

俺に笑いかける遊馬さんはいつもの笑顔に戻っていて安心する。

『……あぁ、でもあそこの事務所、経営傾いてて最近行動が怪しいから気をつけて下さいね』

阿「怪しい行動？さっきみたいな勧誘とかですか？」

『…んー、まぁ…そんな感じかな？』

少し含みのある言い方が気になったがそれよりも″俺の阿部″発言がまだ脳裏にこべりついていて他の事を考える余裕があまりない。

『まぁ、何か困ったことあったらすぐ言ってくださいね。俺はいつだって阿部さんの味方ですから』

阿部「は、はい、ありがとうございます」

そんな事をサラッと言わないでくれ…！ドキドキしちゃうだろ！と心の中で叫びつつ、顔には出ないようポーカーフェイスを維持する。

『あ、あとさっきは馴れ馴れしく肩抱いちゃってすみません』

阿部「い、いえ、全然そんなこと、むしろ…」

『むしろ？』

阿部「いや、な、なんでもないです…」

変なことを口走りそうになってつい口に手を当てる
あ、危ない、表情を気にしすぎて口からボロが出そうになった…。
そんな俺を見て、遊馬さんがふふっと笑う。

『阿部さん可愛い…笑』

阿部「え、」
スタ「遊馬さーん！会議始まりますよ！」

あれの声に被せるように遠くからスタッフさんの声が聞こえた。

『あ、すぐ行きます！じゃあ、阿部さんお疲れ様でした』

阿部「あ、は、はい、お疲れ様でした…」

足早に去っていってしまう遊馬さん。
本来であれば「足を止めてしまってすみません」とか「会議頑張ってください」とか色々言えたのだが俺にそんな余裕は一切なかった。

阿部「もう、遊馬さんズルすぎる…」

遊馬さんの姿が見えなくなったのを確認してかその場にしゃがみこみ、暑くなった頬を両手で抑えた。
あれだけときめく事言っておいて、最後は言い逃げなんて…。無自覚だから余計にタチが悪い。

阿部「あれこそ逮捕だよ…」

暑くなった体を冷やそうと飲んだコーヒーはぬるくて、全然冷やされなかった。