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1週間ぶり ページ15

ダーマ神殿で商人から買ったキメラの翼を投げ、到着した先はセントシュタイン城下町。

早く早く、と急かす心と同等に目的地へ向かう足は早まるばかりだ。

夕方になり増えてきた家路に着く人々の間をすり抜け、フェイルは宿屋に勢いよく転がりこんだ。

「ひゃっ!……あ、もうっ!フェイルじゃないの!」

カウンターに佇むリッカを驚かせたようで「ごめんごめん」と半笑いで謝るフェイルの目はルイーゼの酒場に3人の姿を探す。

残念ながら3人どころか1人の姿も見当たらない。

もしかしたら彼らはまだセントシュタインには到着していないのかもしれない。

早く会いたいあまりに少しがっかりとした本心を抱えたまま、とりあえずリッカに3人の事を尋ねようと歩を進めた。

と、

「おーい、てめェはどこ見てんだよ」

背後から軽くおちょくるような笑いを含む聞き慣れた声が聞こえ、フェイルは間髪入れずに振り向いた。

猫目を細めて笑うのは紛れもなく探していた仲間の1人……ガイア。

たった1週間会わなかっただけにも関わらず、ひどく懐かしいような気持ちがフェイルを駆け巡った。

「久しぶりガイアっ!」

「おっ、やりやがったな!」

小柄どうしでお互いの髪をかき乱しながらゲラゲラと笑う姿は、端から見れば子供同士にも見える。

そんな2人を宥めるように、頭上に軽く本が降り下ろされる。

「宿屋の入口で君達は何をやってるんだ」

痛みを伴わない促しと冷静沈着な声に視線を動かせば、ガイアに続いて現れたのはクルス。

少しばかり傷痕は残っているものの、手の怪我は完治した様子の彼は元々鋭い目を少しばかり緩めてフェイルを見つめた。

「1週間ぶりだと思ったらこれか。相変わらずだな」

「クルスも久しぶりっ!」

標的をガイアから変更し、彼女はクルスの髪に手を伸ばす。

不意打ちにメガネを守る事で精一杯な彼は見事に髪をボサボサにされてしまった。

「全く……まぁ、元気そうで何よりだ。だろ?」

「えぇ、本当ですわね」

何故か得意気なフェイルを前に呆れたような薄い笑みを浮かべると、彼は背後に声をかける。

背の高いクルスの背後から顔を覗かせたのは柔らかな笑みを浮かべるリアン。

リアンの髪にも手を伸ばしかけたフェイルだが、彼女の髪は編み込みがされていることを思い出して寸止めをし、抱き付くだけに留めておいた。

「久しぶりだねリアン!」

「あら、たった1週間ですわよ?」

はつらつとしたフェイルとは対照的にあくまでも上品に笑うリアンは彼女の頭を撫でてやった。

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CrazyBook(プロフ) - キキさん» すみません、未満警察とはなんでしょうか? (2021年3月8日 20時) (レス) id: 66a0a0e5f5 (このIDを非表示/違反報告)
キキ(プロフ) - CrazyBookさん» その他に未満警察に関して詳しいですか? (2021年2月21日 17時) (レス) id: 1f8411eea9 (このIDを非表示/違反報告)
キキ(プロフ) - うーん・・・まずオチをイザヤールにして設定は作者の設定を参考して書いてみようかな?どの部分か・・・うーん・・・わからないです・・・ (2021年2月21日 17時) (レス) id: 1f8411eea9 (このIDを非表示/違反報告)
CrazyBook(プロフ) - キキさん» 設定のどの部分が使いたいですか? (2021年2月21日 17時) (レス) id: 89127ffd6d (このIDを非表示/違反報告)
キキ(プロフ) - CrazyBookさん» うーん・・・ (2021年2月21日 16時) (レス) id: 1f8411eea9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:CrazyBook | 作成日時:2018年10月11日 23時

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