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返り血……? ページ30

乾いた地面には、5人分の足音が響く。

勿論フェイルには一人の羽音も聞こえるが。

「まさかお義父さんが僕の為に……」

先程からブツブツと独り言を続けるルーフィンを、ガイアは怪訝そうに横目で見上げた。

「俺らが護衛についたことか?」

「あぁ……!」

わざとらしく尋ねられたことも気にせず、ルーフィンは大きく頷く。

僕が口だけの男で無い事をお義父さんに、と意気込む彼にフェイルとサンディは苦笑気味の顔を見合わせた。

「全く……可笑しな張り切り方ですわね」

ふと隣のクルスへ話し掛けたリアンは、軽く目を見開く。

先程まで隣にいた彼の姿は、いつの間にか随分と後ろに取り残されている。

「クルス!いったい何をしているのです?」

珍しく彼女が声を張り上げれば、クルスは片手をあげる素振りを見せた。

「どしたの?」

異変に気が付いたフェイルも立ち止まる。

「クルスがいつの間にか……」

「後ろから魔物が来ていたんだ。文句は無いだろう?」

“ピオラ”で自身の素早さを上げて近付いてきたクルスは言葉を遮り、リアンへGを渡す。

その右の掌は、何故か赤い何かが付着していた。

「……それ、何?」

平然と歩き出したクルスは、フェイルに掌を指摘されて一瞬足を止めた。

「……さっきの魔物の返り血だろ。僕も初めて気が付いた。」

さりげなく右手をローブの端で拭う彼は、黙々と進むルーフィンとガイアを追っていく。

「クルスって……魔法使いだよね?」

「えぇ」

それが?と続けるリアンに、フェイルは口を開く。

「強い魔物ならまだしも……この辺の魔物に短剣は使わないよね?」

ヒョコヒョコと大きな紅葉型の頭を揺らして移動する魔物を指差した彼女に、リアンも

「まぁ……そうですわね」

と頷いた。

「つまり貴女は、返り血はおかしいと言いたいのかしら?」

目をあわせ、力強く頷いたフェイルにリアンは思わず先を行くクルスの背を見つめる。

軽く咳き込んだ彼は、口から離した掌をほんの数秒見つめていた。

諦め、信頼→←呑気



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設定タグ:ドラゴンクエストIX , ドラクエ , ドラクエ9   
作品ジャンル:アニメ
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CrazyBook(プロフ) - かなさん» コメントありがとうございます!楽しんでいただけて何よりです!亀更新かもしれませんが、気長に読んでください! (2018年9月7日 20時) (レス) id: 31b46a970e (このIDを非表示/違反報告)
かな - 始めて読んだけれど内容がとても面白かったです!更新楽しみにしてます! (2018年9月6日 23時) (レス) id: ad5e0a46a7 (このIDを非表示/違反報告)
CrazyBook(プロフ) - 星咲夜空さん» 最高のコメントありがとうございます!更新は不定期ですが、オリキャラと共に話を続けていきます!気長に読んでください! (2018年6月9日 17時) (レス) id: 31b46a970e (このIDを非表示/違反報告)
星咲夜空(プロフ) - ドラクエ9の小説は少ないし、内容も面白いので、更新が嬉しいです!頑張って下さい! (2018年6月9日 17時) (レス) id: b950053151 (このIDを非表示/違反報告)
CrazyBook - ねこさん» コメント、ありがとうございます。非定期の亀更新ですが、気長に読んでください! (2018年3月11日 23時) (レス) id: 31b46a970e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:CrazyBook | 作成日時:2018年3月5日 5時

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