トロフィー ページ28
ーおーい！起きてるー？
そう尋ねると同時に扉を叩くと
「起きてる」
と静かな返事が返ってくる。
手に持ったモノを器用に背中へ隠し、フェイルはリッカの待つ部屋へと足を踏み入れた。
「こんな遅くまで何してたの？また武術の稽古？」
冗談めかして笑うものの、彼女の瞳は笑っていない。
「まだ悩んでる？」
ただ尋ねられただけなのに、リッカは
「……うん」
と小さく頷いた。
「セントシュタインで宿屋をさせてもらえるならやりたいよ……
けど……できる自信がない……
こんな小さな宿屋で手一杯の私がそんな大きな街の宿屋を……って考えると不安に押し潰されそうになる……」
軽くうつ向いた彼女は両手で顔を覆う。
と、
ーじゃあさ、リッカのお父さんが最高の宿屋だったら自信出る？
不意にフェイルがそう言った。
「え？」
と声を漏らし、顔をあげたリッカの視界にフェイルの持っているあるものが映る。
それは……
ートロフィー……？
金色の輝きを放つ、両手で抱える程に立派なトロフィー。
何も言わず、それをフェイルに渡されたリッカは台座に彫られた文字を見て目を丸くした。
ーリベルト殿を……唯一無二の宿王と認める……
「ルイーダさんの言ってた事……本当だったんだ……」
そう呟くと、彼女はへたりとベッドの端へ座り込む。
が、
すぐさま立ち上がった。
「だったらなんでお父さんは宿王の地位を捨ててまでウォルロ村で宿屋をやっていたの！？
あのままセントシュタインで宿屋をやっていれば良かったじゃない！」
声を荒げるリッカは、
「ますます分かんないよ……」
と呟き、うつ向いてしまう。
さすがのフェイルも成す術がない。
と、
ーそろそろ……話すべきじゃと思っておったわい
急に聞こえた声に、二人はハッと扉を振り向く。
そこにはリッカの祖父が杖をついて立っていた。
「話すべきって……何を……」
リッカは一瞬たりとも祖父から目を反らすことなく尋ねる。
彼はゆっくりと話し始めた。
昔、リッカは病弱な体質であった。
それは彼女の母親から遺伝したもの。
その体質では成長するにつれて体が弱り、やがて死に至る。
しかしリッカにはその体質が残ってはいない。
それはこのウォルロ村の名水を飲んで育ったからだと言う。
この事を聞いたリッカの目が大きく見開かれる。
「お父さんは……私の為に夢を諦めたの……？」
彼女の呟きに祖父は小さく頷いた。
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キキ(プロフ) - CrazyBookさん» タイトルと設定で苦戦中・・・ (2021年2月21日 16時) (
レス) id: 1f8411eea9 (このIDを非表示/違反報告)
YUMARU - これみたあと、ドラクエ9久々にやってみましたww小説見ていて面白かったです！(*^^*) (2020年11月1日 15時) (レス) id: 9536630108 (このIDを非表示/違反報告)
CrazyBook(プロフ) - 群青の田舎人さん» ありがとうございます！嬉しい限りです！亀更新かもしれませんが、気長に読んでください！ (2018年8月24日 20時) (レス) id: 31b46a970e (このIDを非表示/違反報告)
群青の田舎人 - この小説を読んでドラクエ9引っ張り出してきましたwとても面白かったです！更新楽しみにしてます！(*^^*) (2018年8月24日 13時) (レス) id: 63b7e4717d (このIDを非表示/違反報告)
CrazyBook - サリナさん» 勿論大丈夫です！占いツクールで書かれるのであれば、是非読ませてください！楽しみにしています！ (2018年4月12日 21時) (レス) id: 31b46a970e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：CrazyBook | 作成日時：2017年8月15日 14時
