【WT】彼は絶対浮気なんかしない

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その場で私たちは固まった。お互いを見つめあっていると、時が止まったように思えてくる。

え？ スマイルさんとそら先輩、なんで、会話……。


「……話してみなきゃわかんないから、とりあえず、スマイルたちんとこ、行こ。俺はあんま、状況理解できてないんだけどね」


さりげなく差し出されたなかむの手を、慌てて取る。久しぶりのなかむの温もりに、泣きそうになった。

そう遠くない距離だから……。私が不安だと思って、繋いでくれたのかな。


『すっ、スマイルさん。なんで、スマイルさんとそら先輩が、会話、してるんですか……？』

「スマイル、俺あんま状況飲み込めてないんだけど。でも、スマイル、前に俺のバイト先来たとき、そら先輩のこと知らんって言ってたよね」


私の質問に追い討ちをかけるように、なかむが言う。へぇ、そうだったんだ。


「それに、俺がスマイルに彼女と出かけるって送ったことになってるんだけど。俺、そんなの送った覚えないが？ お前、Aになんて言ったの？」


そのとき、なかむの目に、どこか怒りが孕まれていることに気付いた。

……あ、これ。

なかむバーサス私、じゃなくて。

なかむバーサススマイルさん、になってるんじゃ……？


「……何言ってるんだ？ なかむは確かに、俺にメールを送ってきただろ」

「はぁ？ じゃあ何、見せてみろよ」


なかむがそう言うと、スマイルさんはスマホを取り出す。私は見たくなくて、目をそらした。

だから、スマイルさんの顔は見ていない。

……なかむは鋭い声色で言った。


「……いやいやいや。これ、絶対加工じゃん、あり得ないわ、スマイル、まじで」

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