『初恋～Ki story～』 (ページ19)

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(YOU SIDE)

私にとって現実を思い知らされた瞬間だった。
相手の女の人のお腹の中に和之の子供がいる･････

やっぱり私に子供が居ればこんな事にはならなかったって事？
もう何も考えられないほど私は放心状態へと陥ってしまった。

あの場にミツが居てくれなかったら、私はここまで耐えれなかったと思う。

彼の家へと戻るまで、ほとんど自分に意識が無かった私。
気付いた時には彼の腕の中に居た。

「ガマンしなくていいんだからな。
思いっきり泣け」

この言葉が今までガマンしていた私の中の糸がプツンと切れ、涙が止まらなかった。

そんな私の背中を優しくさすってくれる彼の手はとても温かくて、私を徐々に安らぎへと導いてくれる。

『ミツ有難う･････胸を貸してくれて。
私は大丈夫だから。もう仕事に行く準備して？』

私は精一杯の笑顔を彼に向けた。

「何、無理して笑ってんだよ(笑)」

彼はそう言って私の鼻をつまんだ。

「こんな時に一緒に居てあげられなくてごめんな。
仕事が終わったらすぐ帰って来るから」

私の頭を撫でながら、まるで子供をあやすようなとても優しい眼差しで私に微笑みかけてくれた。

「そうだ！ A、連絡先交換させて？」彼は私の携帯を受け取り、自分の連絡先を登録した。

「これでいつでも連絡が取れるから寂しくないっしょ？」

「仕事の合間にも連絡してやるからな」ちょっと上からだけど(笑)
彼の気遣いがとても歯がゆかくて、私を笑顔にさせてくれる彼の笑顔は、私にとって今は一番の特効薬でもあった。