【d!】短編かんづめ【短編企画】

私にだってできること【gr】 ページ31

「ねえ、グルッペン」

返事は、ない。
それでも続ける。

「やっと、グルッペンの気持ちに気づいたよ。
今からじゃ...もう遅いよね」

そういい、すこしだけ微笑む。
勘のいい彼に私の気持ちを悟られたくないから。

「私...最後までバカで、迷惑でしかなかったよね」

目から液体が流れてくるのなんて気のせい。

「ごめん、ごめんね...」

そうやって繰り返し呟くことくらいしか私にはできない。
一人でうずくまっていると、突然、背中を撫でられる。
とても強く、たくましい、大好きな彼の手に。

「俺は大丈夫だ」

低い声で、私を安心させてくれる。
もう、涙は止まらなくなってしまった。

それから、涙がかれるまで一人で泣いていた。
気づけば涙は止まっていて、まるでタイミングを見計らったかのようにマンちゃんにお茶会に呼ばれる。
すこし返事をして、立ち上がり、グルッペンの足元に赤いカーネーションとメッセージカードを添えてこの場を去った。

ーーそれから、１０年たった今。
時々、彼のことをふと思い出す。
そのたびに私は悲しくも嬉しくもなる。

彼が、いつまでも私の記憶のなかで生きてるんだなって思えるから。

解説(!)とあとぅー(とうとう略すようになってきた人)【平凡な人】→←永遠の恋【em】

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