最期に君の声が聴けたなら。

【残り44週間】 ページ15

‐A side-
　
莉犬に連れられてカフェに来た。

A「ところで莉犬。莉犬って声優業に進みたいって言ってたけど今は何してるの？」

莉犬「まだ声優の卵なんだけどね、こいぬって名前で活動してる！」

A「え、すごい！あ出てきた！さっそく役もらってるじゃん！」

莉犬「すごいでしょ〜！」


莉犬はすごい。本当に自分のやりたいことに向けて努力して、ちゃんと夢かなえたんだ。


莉犬「Aは？やっぱり天文学者になりたいの？」


私は小さなころから宇宙が大好きだった。だから大学でも一応物理学を学んでいるんだけど。


未来。私は未来が欲しい。

みらい。残り一年しかないみらい。

ミライ。君と、ころちゃんと過ごすはずだった幸せなミライ。

全部全部私から離れていって,,,,,,,,,



莉犬「俺、なんか悪いこと言っちゃった？」


黙りこくっていると莉犬は心配そうに私の顔を覗き込んでいた。
何してんだ私。せっかく莉犬と久々に話せたのに。

　
A「ん？ごめんごめん！今将来について悩んでたからちょっと考えこんじゃっただけで！」


そう言うと莉犬はいきなり顔を膨らまして私の頬をつねった。


A「いふぁいいふぁい！なんにゃの,,,」

莉犬「だってそれ本心じゃないこと言ってる時の顔じゃん。」

A「え,,,,,,,,,？」

莉犬「長年付き合ってんだからわかるよ。」


莉犬はためいきをついて頭をなでてくれた。

やっぱり幼馴染には、莉犬にはかなわないな。


A「ありがと莉犬。あっそうだ。LINE交換しない？」

莉犬「あーいいじゃん！しよしよ！」


そう言って二人でわちゃわちゃしてるところちゃんの声がした。


ころん「よっA。で赤坂莉犬だよな？Aの幼馴染の」

A「ころちゃん！実習終わったんだ！」

莉犬「お久しぶりです青野先輩！」


すると莉犬が耳元でこそっと「Aの王子様のお迎えだよ」って呟いた。


A「なっ！もう！ころちゃん帰ろ！」

ころちゃん「お、おう。もう話はいいの？」

　
いいのいいの、そう言ってころちゃんを引っ張っていった。

でもやっぱり莉犬と話すと落ち着く。

また話そう。私が死ぬまでに。一度は。


A「莉犬ばいばい！また話そう！」

莉犬「うん！またね！」



そう言って幼馴染と別れた。

莉犬は少し寂しそうな顔で私たちに手を振っていた気がする。

でもまぁいっか。そんな感じで考えるのはやめにした。




莉犬の気持ちも知りもせずに。

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