人生万事塞翁が馬【はじめしゃちょーの畑】 (ページ3)

今日:5 hit、昨日:2 hit、合計:44,841 hit

奢りってやつページ3

「たなっち〜洗ったバスタオルってどこ？」

「そこら辺にないですか？」

「あ、ここにあるっス」

「ホントだ！誰だよここに置いたやつ！！」

「アンタだよはじめさん。」

何故私はこんな所にいるのだろうか。
しかも知らない人の家のお風呂まで借りてしまって。

いや、聞いて欲しい
これは自分で借りた訳では無いのだ

ことの顛末はこうである

ーーー

「ちょちょちょ、はじめくん、ほんとに危な………あ」

という言葉と共に、ぐらりと揺れた私の器。

やばい、と思った時には既に遅く、私の服はラーメンのスープでびしょびしょになってしまっていた。

そこそこに長い時間生きてきたが、ラーメンを被るのは初めての経験

どうしよう、とりあえず拭かなきゃかな…。

と考え、布巾に手を伸ばす

「あ、あの！！本当に申し訳ございません！」

はっきりとした声が響き、そっちの方を見てみると、ぱっちり二重をしたお兄さんが目尻を下げて立っていた

「ああ、いや、大丈夫ですけど。」

本当は大丈夫では無い。

注文してから時間は経っているけど、結構熱いし、ちょっとベタつくし

「えっと…俺たちのせいなんで、俺たちに片付けさせてください！」

初対面で何を言っているんだこの人は。

いや、まあ確かに悪いのは完全にこの人たち…というか、この人を押した、奥にいる背の高いお兄さんではある

どう考えても店内でうるさくしてたのが悪い！

けど、奥のお兄さんも、その周りにいる髪色が若干奇抜なお兄さん達も申し訳なさそうな顔をしてこちらを見ていたので、反省はしているんだなとは思う

とか、色々余計なことを考えているうちに、ぱっちり二重のお兄さんがテキパキと片付けてくれた

「あ、ほんとに片付けてくれて…申し訳ないです。」

「いやいや、悪いのは完璧にこっちなんで」

うん。そうだね。

とも言えず、苦笑い

「あ、ラーメンのお代払います！まだあんまり食べられてなかったですよね…？」

そんなことないけど。
結構食べましたけど。

「あ、いや、大丈夫…」

「それならおいらが払います！！おいらが原因なんで！！」

と、急に背の高いお兄さんが遮ってきた。
まてまて、本当にそれは申し訳ない

「いえ、大丈夫です！ほんとに！」

「いや。そんなこと言わず…！店長、この方の分おいくらですか？」

その後押し問答が続いたが、ガチで払ってもらった私は罪悪感でいっぱいだった。
だからこそ忘れていた

どうやって帰んねん！