人生万事 塞翁が馬【はじめしゃちょーの畑】

半分嘘 ページ17

「？どうされました？」

「ああ、えっと、その、そういうことでしたらシュークリームがいいなって…」

「えっ、シュークリームですか？」

「はい。シュークリーム。」


いいのだろうか。
あんなに嫌そうな顔で食べていたのに。



そんな考えが伝わったのかなんなのか、やふへゐさんは

「シュークリームがいいんです。俺とAさんとの思い出がつまみなのは嫌ですし、シュークリームなら無限ですよ」

なんて言う。




後半は絶対嘘。
あの動画でもギリギリ食べきれてた感じだったし。
まあ、いいって言ってるんだし、シュークリームでいっか。


「じゃあ、このまま買っちゃいますね。ちょうど2個ありますし」

「え？いいんですか？それって誰か…彼氏さんとかお友達のとかじゃ？」

「え？」

「だって、それ以外のものだって一人分ではないですよね？同じやつが2個以上ありますし…」



やふへゐさんに言われて気がついた。

あ、そっか。
私無意識の間に二人分買おうとして…

今までは、アイツの分も買ってたから、ほんとに知らないうちに染み付いちゃったんだ

いや、まあ、浮気されただけで、まだ別れ話とかしてないんですけど！！


「あ、ああ、いいんです。大丈夫です。」

「？…大丈夫ならいいんですが…」

「さっさと会計済ませちゃいましょう！早くシュークリーム食べたいです」

「……」


怪訝な顔で見つめてくるやふへゐさんに気付かないふりをしてレジへ向かう。



「やふへゐさん、そのペヤング買ったら向こうで待っててください」

「え、」

「いや、ほら、やふへゐさんはYouTuberですし。」

「あ、そっか笑わかった。じゃあ向こうにいます」




危ない危ない。
このままいたらうっかり泣くとこだった。


やふへゐさんは関係ない。
迷惑をかける訳にはいかない


でも、あんまり気になってはないと思ってたのに、いざ言われると胸がいたい

結構、効いてたらしい。

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