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1発目 ページ3

 
 
 
幼い頃、私はカラッポだった。

 

裏社会の人間である親の顔は見たことがない。
物心着いた時には、ただ広いだけの家に女のお手伝いと、私独り。

必要最低限の教育は受けた。
だけど外には絶対に出して貰えないし、とても血が通っているとは思えないような人間ばかり。

出来なければ殴られる。
口を開いても殴られる。
死にたくても死ねない。


14の時だった。


当然狂ったような笑い声をあげる、奇抜な髪色をした男が家にきて、私以外、全員殺してしまったのだ。

男を見たのも初めてだし、死体を見たのも初めて。
ただそれだけ。

お前に生きる価値なんてない。

ずっとそう言われて生きてきたから、「あ、ようやく死ぬんだ。」そう思った。

白かった布切れを着た貧相な生き物。
これからもこの先もずっとそう。

死臭が漂う部屋の中、枝のような腕を広げて、言った。


『どうぞ、殺して下さい。』ってね。


すると桃色の髪の男は、おかしなモノでも見たかのように目を見開いて、また笑うのだ。


「ボスゥ!このガキ、どうしますかァ?」


ボス、そう呼ばれた男がこちらに近づいてくる。
あかい水溜りを踏んで、私の目の前に。


「オレの犬になるか、死ぬか選べ。」


薄灰色の髪に、目元の濃い隈。
生気のない瞳と、視線が交わる。

向けられた無機質な灰色の拳銃に、何故か胸が高鳴り始める。


『あ、なたの、ために生きたい、です。』


ガチャン、そんな音をたてて目の前に拳銃が投げ出された。


「...オマエの親を、それで殺せ。」


『お、やを...ころす。』


ヒトを殺す。

この人の、ために。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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まんじ(プロフ) - えりりんさん» ひゃぁぁぁ!利害の一致すぎて嬉しいですっ!お体に気をつけてください!待ってます!! (2021年7月31日 0時) (レス) id: 889920d2a3 (このIDを非表示/違反報告)
えりりん(プロフ) - まんじさん» まんじ様リクエストありがとうございます!マイキーの話書きたかったのでテンション上がります!!なるべく早く公開できるように書きますね! (2021年7月30日 17時) (レス) id: d4ca386afc (このIDを非表示/違反報告)
まんじ(プロフ) - すいません、間違えました。マイキーに、じゃなくマイキーが、でした。すいません! (2021年7月30日 17時) (レス) id: 820a7b5d96 (このIDを非表示/違反報告)
まんじ(プロフ) - とても面白くて大好きです!リクエストなのですが、マイキーと喧嘩した主人公が気まずくなってマイキーを避けて、他の梵天メンバーと絡んでいたら、嫉妬したマイキーに監、禁して、甘やかしまくる話みたいです!お身体にお気をつけて頑張っください! (2021年7月30日 17時) (レス) id: 820a7b5d96 (このIDを非表示/違反報告)
えりりん(プロフ) - 哀悧さん» 哀悧様リクエストありがとうございます!イヌピーとココの再開...最高ですね!!熱中症の心配までしてくださってありがとうございます!気合い入れて書きますね! (2021年7月29日 19時) (レス) id: d4ca386afc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:えりりん | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php?svd=sea  
作成日時:2021年7月22日 18時

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