スパダリ ページ11
Aさんが料理が得意だそうなので、カレーの様子を見に隣へ行ってきますね。
そう適当な理由をつけた沖矢さんは、そのまま私を連れて隣のお屋敷へ入った。
リビングのソファに私を座らせると、一度キッチンへ入り、マシュマロココアを持って戻ってきた。
ソファの私の隣に腰掛け、ココアを私にそっと持たせると、柔らかく頭を撫でながら一言。
「…すまない」
その言葉に涙ボロボロのまま顔をあげると、ちょっとしょんぼりした表情の沖矢さんがいた。
先ほどまでと声が違うので変声機の電源でも切ったんだろう。とても良い声だけど、さっきと違うせいで違和感がひどい。
「職業と現状のせいで、誰でも疑うようになっているんだ。…すまなかったな」
「あ、いえ…私が無神経で…母にも友人にも、もっと考えてから発言しなさいって言われてるんですけど」
「そうだな、それはそうしたほうがいい」
「わぁ辛辣」
そしてそのまま、変声機とマスクのことは安室さんに聞いた、注意しろと言われたと話すと、なんだか複雑そうな表情をされた。うん、全然注意できてないじゃねぇかってことでしょ、わかってるよ。
「全然注意できてないじゃないか」
「うおお言われちゃった」
なんか、優しい人っぽい。顔を見合わせて二人して柔らかく笑うと、沖矢さんはもう一度キッチンへ。そして戻ってきた手には、クッキー。
「お詫びだ、好きなだけ食べてくれ…とは言っても、その辺に売ってるクッキーだがな」
「わーい！」
「お詫びと言いつつなんだが、安室くん含む他の人には俺が変装した姿だと言わないでくれ」
「絶対言いません！」
「…これは、安室くんの心配する気持ちもわかるな」
ちょろすぎる。とかなんとか聞こえたけど私は目の前のクッキーとマシュマロココアに夢中だった。
大きな手でふわふわと頭を撫でられて、なんとなくスキップしたくなるような気持ちのまま、沖矢さんとお話をする。
「沖谷さんは変装してるって言ってましたけど、なんでそんなことを？」
「…まぁ、詳しくは言えないが、追われているんだ」
「あ、安室さんに」
「いや間違ってはいないが…まぁ、他にもな」
「そうなんだ、大変ですね。あ、このクッキーおいしい」
そんな会話をする中、沖谷さんはなんと、私の背中とソファーの間にクッションを差し入れ、クッキーを手で食べている私のそばにウェットティッシュを置き、ココアを好きな甘さにできるようにと、追加でマシュマロを持ってきてくれた。
…スパダリだ！？
終わり
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ねむ - 『触れられない』で安室さんが送らずにその場で別れたのが切ないけど大人な感じが解釈一致すぎます！！！夢主ちゃんも魅力があり、2人の掛け合いも好きです。 (2023年2月10日 1時) (
レス) @page8 id: 0b072b8240 (このIDを非表示/違反報告)
nao0824hito(プロフ) - 更新楽しみにしてるっす！ (2020年10月10日 19時) (レス) id: 04378a0bcb (このIDを非表示/違反報告)
ちゃみ(プロフ) - 初めまして、いつも楽しく読ませて頂いております。沖谷ではなく、沖矢ではないでしょうか？これからも楽しみにしております。 (2019年8月31日 13時) (レス) id: 507dd71bb9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エリス | 作成日時：2019年8月16日 10時
