その25 ページ25
「えふびーあい!?!?!?」
私が思わず繰り返すと、赤井さんは小さく笑った。えっなんで今笑われたの私。
「いや、驚きすぎて目玉が落ちそうだったから思わずな...」
「落ちませんよ...いくらなんでも...」
なんだこの人、天然なのかな。
なんだかさっきまでの緊張した空気はすっかりなくなってしまって、はぁ、とため息をついた。
「シークレットを張ってた、ってことは、私のこともずっと知ってたんですか?」
「ああ。」
「だからポアロの時睨んでたんだ...」
赤井さんは私もまとめて始末しようとしていたけれど、倉庫内を盗聴していた所揉めているのがわかり、私が逃げ出してきたのを見て助けたのだという。
見返りに、私が知る限りの組織の情報が欲しいんだそうだ。そんなもの、いくらでもあげるわ。
「で?Aと言ったな、やりたいことがあるんだろ?」
「...うん...透を騙したから、ちゃんと謝りたい」
「許してもらえないとは思わないのか」
「思ってるよ、でも私はわだかまりを残して死ぬのは嫌なの」
「ホォー...」
「...でも、正直...怖くて、まだ勇気が出ないです...」
俯いてそう言う私の頭に、ぽん、と大きな赤井さんの手が乗った。優しいその手つきはなんだか心地よくて落ち着いてしまう。
「覚悟ができるまで、ここにいろ。と言っても俺も居候させてもらっている身だがな」
「...ありがとうございます」
私はあてがわれた部屋に入り、座り込む。
すっかり忘れていたが足はガクガクのぱんぱん。膝と肘の出血は固まっていた。
服もボロボロだし...ひどい有様だ。
「...透を騙した、罰だったりして...」
ぽつりと呟いて、手を握りしめる。
そんなわけない。あの人を騙した罰が、この程度ですんで良いはずが無い。
それから1週間、私は赤井さんのお世話になった。
必要以上に外に出るのは危険なので1歩も家から出ず、気晴らしに赤井さんとキッチンにたってみたり。聞かれるがまま、組織について答えたり。
けれど、勇気が出ないなんて言ってまごついてる余裕はそんなに無い。
もしかしたら怪しんだAがジンになにか言ってしまうかも...。
うん、今日行こう。
彼がいつ家にいるかわからないから、真夜中に行く。もしかしたら真夜中でも家にいないかもしれないけど。
家も2箇所ある...いや、きっと彼は私とあんなことがあった後だ、より安全な降谷零の家に帰るだろう。
そう頭の中であたりをつけて、私は1週間ぶりに真っ暗闇の中、外へ飛び出した。
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れい(プロフ) - 復元してくださりありがとうございます!! 此れからの更新も待ってますね (2019年2月23日 21時) (レス) id: 541088bf06 (このIDを非表示/違反報告)
エリス(プロフ) - れいさん» お早いコメントありがとうございます!!なんとかかんとか復元ができましたのでまた続編のほうで続きを書きます…!ありがとうございます(;ω;) (2019年2月23日 17時) (レス) id: 865c783a94 (このIDを非表示/違反報告)
れい(プロフ) - キャバ嬢 書きましょう!! (2019年2月23日 17時) (レス) id: 541088bf06 (このIDを非表示/違反報告)
エリス(プロフ) - 陽香さん» ひええありがとうございます…!もっと更新できるように頑張ります!! (2019年2月20日 22時) (レス) id: 865c783a94 (このIDを非表示/違反報告)
エリス(プロフ) - ののいろ系女子さん» 最近降谷さんが出てきてませんがそろそろ出てきますので…!よろしくお願いします! (2019年2月20日 22時) (レス) id: 865c783a94 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:エリス | 作成日時:2018年6月8日 9時