366) パトカーにて (You side) ページ16
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ヒチョル「Aちゃん、日本人?」
A「…そうです。」
ああ、またか。
反日感情の強いこの国には、若い世代であっても、日本人だとわかると途端に態度が変わる人はまだまだ多い。
もうすっかり慣れてしまったけど。
思い切り怪訝な顔をしている運転席の警察官をよそに、キム・ヒチョルさんは女の私でも見惚れるほどの端正な顔立ち。
ヒチョル「俺は日本のアニメとラーメンと女の子大好き!友達になろうよ!Aちゃん!」
A「…は?」
私の手を握ったまま、興奮して好きなアニメの話を延々と語っていた。
私、アニメとラーメンと同格なんだ…
なんだか可笑しくなってきて、「私も好きです」と笑ってしまう。
悪い人じゃないのかもしれないな。
ヒチョル「チングは…日本語でトモダチ?」
A「そうです。友達。よく知ってますね!」
ヒチョル「じゃあ、今日から友達ね!困ったことがあったら、ここに電話して!力になれるよ!」
そう言って、私に名刺を手渡した。
【⚫⚫警察署 警部 キム・ヒチョル】
A「警部…さん…?」
ヒチョル「そうだよ!見かけによらず頭いいの俺。」
A「本当に…見えないですね。」
警部と言えば、結構偉いポジションだよね。
A「あの…送ってもらってありがとうございました。ここからなら歩いて直ぐなのでここで降ります。」
あと3分も走ったらユノのマンションに着いてしまう。
パトカーなんかで帰ってきたのを見られたら、心配かけてしまうから。
ヒチョル「いいからいいから。暗くなるとこの辺りも物騒だし。女の子の一人歩きは危ないからね!」
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作者名:mari | 作成日時:2020年3月8日 14時