369) 夜のデート2 (YN side) ページ19
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《あー誤解すんなよ。Aちゃんを尾行してた訳じゃない。会ったのは本当に偶然。》
ドンヘの知り合いの警部は予想以上に変な奴だった。
Aの事もどこまで知ってるのか知らないが、やけに親しげな所が気にくわない。
パンツスーツ姿を見慣れているからか、ワンピース姿は新鮮で。
髪も綺麗なブラウンでAの童顔がまた際立っていた。
ユノ「大学の先輩がやってるレストランなんだ。小さい店なんだけどなんでも美味いんだよ。」
A「ほんと?お腹空いてるから嬉しい!」
夕方には珍しく、道も渋滞していない。
タクシーはあっという間に店に着いた。
ユノ「先輩!」
先輩「おお!よく来たな。随分久しぶりじゃないか? 」
ユノ「先輩もお元気でしたか?」
ここのオーナーは大学時代の先輩で。
派手な宣伝を好まずに、看板も出さずにやっている。座れば俺の好物ばかりが出てくる特別な場所。
年輩「随分とかわいい彼女連れてるな。いらっしゃい。奥の窓側の席にどうぞ。」
小さく会釈をするAの手を引いて、この店の中でも一番景色のいい席に座った。
ユノ「俺も随分と久しぶりなんだ。いつもは予約でいっぱいなんだけど、たまたまキャンセルが出たんだって。」
A「そうなの?人気なんだね!全然知らなかった。」
ラッキーだね!って目を輝かせながら、渡したメニューを隅々までチェックしている。
仕事中の凛とした姿が信じられない程、スイッチが切れた状態のAは幼い。こんな姿を見せるのは俺だけにして欲しい。
結局食べたいものがまとまらずに、先輩の計らいで店の看板料理が少しずつ食べられるように、目の前のテーブルは大人のお子さまランチ状態になっていた。
A「凄い…夢みたい…」
ユノ「ゆっくり食べな(笑)」
こうしている間も、音を切ったスマホは胸のポケットの中で振動していた。
A「ユノはお腹空いてないの?」
ユノ「いや…Aが食べてるの見てるのが好きなだけ。俺も食べるよ。」
スマホの振動を気にしながらも、目の前のご馳走を食べていると、先輩がデザートを運んできた。
いかにも女の子が好きそうな沢山のプチケーキ。
先輩「そういえば、先週お前の兄貴も来たぞ。ちょうど店が混んでる時に来たから、あまり話せなかったんだけどな。」
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作者名:mari | 作成日時:2020年3月8日 14時