340)兄貴からの電話2（YN side) ページ40
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《もしもし？…ユンホか？》
紛れもなく兄の声だった。何かあったのではないかと心配した感情は、一瞬で怒りに変わる。
ユノ「兄貴…何やってんだよ。皆に迷惑かけて…突然姿を消すなんてどういうつもりだ！？」
自分でも驚く位に低い声が出た。
ユノ「今どこだよ！！ キム秘書には連絡したのか？どれだけ心配かけたら気が済むんだ！」
電話の向こうで何も言わない兄に、一方的に詰め寄った。
ユノ「なぁ、なんとか言えよ！！」
ジニョク「…お前も…オヤジと一緒だな。」
ユノ「え？」
ジニョク「今日の事はすまなかった。キム秘書からお前が代理で出席してくれたと聞いた。つまらない事に付き合わせてしまって、悪かったよ。」
その時、あのひたすら頭を下げて詫びていた会合を思い出した。
心ない親父の言葉も。
ユノ「いや…怒鳴ってごめん。無事ならいいんだ。会合は上手くいったと思う。先方も今まで通りの取引をと約束してくれた。」
ジニョク「…そうか。悪かったな 。お前なら大丈夫と思ってたんだ。」
ユノ「なぁ、今、どこにいるんだ？ソヨンと一緒なのか？」
ジニョク「ソヨンとは暫く会っていない。婚約は白紙に戻そうと思う。」
ユノ「え？どうしてだよ！リコール問題で婚約式を延期にしただけじゃなかったのか？」
ジニョク「結婚は親父が勝手に決めた事だ。なんとしても財閥と親類になりたいだけだよ。俺達の意志は関係ない。」
ユノ「…兄貴。ソヨンを愛してないのか？」
ジニョク「…愛してるかと問われたら、愛してると答えるさ。」
ユノ「兄貴…」
ジニョク「とにかく、俺は大丈夫だから。心配するな。お前はお前の道を進め。じゃあな。」
ユノ「ちょっ…兄貴、待てよ！」
お前はお前の道を進め。
そう言って電話は切れた。
かけ直す事も出来ずに俺はその場で立ちすくんだ。
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作者名：mari
| 作成日時：2019年5月16日 0時
