336)彼の家へ（You side) ページ36
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《すぐ行くからそこを動くなよ！》
そう言って電話は切れた。
どうしたんだろ？何かあったのかな？
今になって着信履歴にユノの名前が並んでいるのに気がついた。
A「こんなに(笑)」
バスに乗ると直ぐに眠ってしまったから。
ジニョクさん、とっても素敵な人だったな。
絵の話をしていると本当に止まらなくなって。心がポカポカあたたかくなった。
誰にも遠慮せずに絵の話をするのは久しぶりだったから。
バスの最終地、ソウル駅のバスの停留所には会社帰りのサラリーマン達が沢山いて、いつもは自分もその中のひとりなのにこんなにもゆったりとした気分で恋人が来るのを待っているなんて不思議な気分になる。
そういえば、朝ごはんにチャンミンとお粥を食べたきり何も食べてないや。
目の前のショーケースにはカラフルなアイスクリームが沢山並んでいて思わず覗きこんだ。
「食べたいの(笑)？」
耳元で聞こえたのは大好きな人の声。
お店のガラスには目を細めて笑う恋人の姿が映っていた。
A「ビックリした！早かったね。お疲れさま。」
ユノ「早く会いたかったから。行こう。腹が減ったよ。」
A「どこに？」
ユノ「俺のマンション。」
いたずらをしている子供みたいな顔をして、私の手を引いて歩き出した。
※
※
※
ユノ「着いたよ。」
タクシーが停まった場所は、ユノの会社からすぐそばのマンションだった。
ここからなら少し頑張れば私のマンションにも歩いていけるかも。
大きな扉のエントランスを抜けると、皮貼りの大きなソファーが置いてある広いロビーがあった。
手を繋いだまま、ロビーの真ん中を突っきって奥のエレベーターに向かう。
A「キラキラ…」
天井の高いエレベーターホールには大きなシャンデリアがぶら下がっていて、あんぐり口をあけた私に
ユノ「あれ掃除するの大変だろうな(笑)」
なんて、他人事みたいに言っている。
ユノは最上階のボタンを押すと、扉が閉まるなり私の手をぎゅっと引いた。
すっぽりと腕の中におさまる。
A「ユ…ユノ、カメラあるよ？」
ユノ「見せつけてやればいいさ」
気のせいかな？
なんだかユノがとても焦ってるような気がした。
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作者名：mari
| 作成日時：2019年5月16日 0時
