332)気持ちのいい日2（You side) ページ32
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優しそうなとても落ち着いた雰囲気の大人の男性。
グラビア雑誌からそのまま抜け出したような…
かなりのイケメンだった。
男性「こんにちは。」
A「あ、こ、こんにちは！」
振り向いた男性がニッコリと笑った。
《ドキッ》
なんだろう？
心がざわつく。
男「いい天気ですね。」
A「そうですね！あの…絵を見せて頂いても？」
男「どうぞ！下手ですけどね。」
おそるおそる近づくと、そこにはとても綺麗な色づかいの油絵。
ソウルの街並みが青空と共に描かれていた。
A「わぁー 素敵です！」
その絵はとても繊細で。時間をかけて、何度も何度も重ねられたものだとわかる。
男「絵は…お好きですか？」
A「はい。昔、水彩画を描いていました。最近は…全然ですけど…」
男「そうですか。私もたまに…心が疲れるとここに来て絵を描きます。家族にも誰にも内緒でね…」
その男性は少し伏し目がちに微笑んだ。
男「どうぞ。良かったらコーヒー飲みませんか？」
男性は小さな簡易椅子を組み立てて、近くにあったポットからコーヒーをいれてくれた。
A「ありがとうございます。何だか邪魔してしまってすいません。」
男「大丈夫ですよ。ちょうど休憩をしようと思ったところです。あの…もしかして日本の方ですか？」
A「はい。やっぱりわかりますか？韓国語はまだまだ未熟で…」
男「いえいえ。そうじゃなくて。それ(笑)」
男性が指差した先には武がお土産で持ってきたスカイツリーのキーホルダー。しかもAなんて名前つき。
あいつ、いつの間にバッグにぶら下げたんだろう！まったく！
A「あ…これは日本から来た弟のお土産で…こんなセンスないもの(笑)」
男「弟さんと仲がいいんですね。羨ましい。僕にも弟がいるんですが、すっかり嫌われてしまって…」
A「いえ…歳の離れた弟なので…何だかバカにされていて(笑) 弟を空港に送ってから、適当にバスに乗ったらここに着きました。お天気もいいし、何だか気分が良くて。」
男「そう。もう絵は描かないの？」
A「色々あって…絵を描くのが辛くなって描くのをやめていました。でもまた描けそうな気がしてて…」
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作者名：mari
| 作成日時：2019年5月16日 0時
