299)舞い上がる！<YN side> ページ49
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そろそろ帰宅しようかと上着に袖を通していた時にプライベート用のスマホが鳴った。
ユノ「もしもし？A？仕事終わった？」
聞けば明日急に弟の武くんがこっちに来るという。
春から就職する会社を世話した事もあって、挨拶に来てくれるらしい。
武君には日本で一度会ったきりだけど、姉思いの優しい青年だった。
ユノ《俺の大切なAの弟だよ？俺にとっても大切な弟だよ。》
武君だけじゃない、俺にとってAの家族は大切な人達なんだ。
ドンヘにも挨拶したいという武君の希望も叶えてやりたい。
A《 私も明日からしばらくお休みなの！榊さんがね、入校までの間、代行してくれる事になって。しばらく休めって。》
武君が訪ねて来てくれるという連絡だったのに、Aがしばらく休みだという事を聞いた瞬間、頭の中は二人の事でいっぱいになった。
何処に行こう？ふたりで何をしよう？
生憎こういう時に俺にはストックが無い。悔しいけどあいつに頼るしか無いんだ。ドンヘ。
3日、いや2日で仕事を片付けよう。
Aを連れてどこか郊外の静かなところでゆっくり過ごしたい。
俺は本来の目的も忘れて、ドンヘに電話をかけた。
ユノ「ドンヘか？ なぁ、Aとふたりでゆっくりしたいんだ！何処なら喜んでくれると思う？？」
ドンヘ「なんだよ唐突に(笑) 全くお前はAちゃんの事になると、高校生…いや、中学生以下だな！」
ユノ「なぁ、頼むよ。調べてくれないか？ああっ！大事な事を忘れてた！明日武君がこっちに来るんだ。お前に挨拶がしたいって。」
ドンヘ「なんだよ。俺に挨拶はついでかよ(笑) わかったわかった！空けとくよ。久しぶりにAちゃんにも会いたいし。」
こういう時は本当に頼りになる俺の親友。
すっかり舞い上がった俺は兄貴の失踪の事などすっかり忘れてしまっていた。
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作者名：mari
| 作成日時：2018年11月4日 1時
