273)キスして欲しい2< YN side> ページ23
.
温めるだけのお粥と、カットフルーツ。急いでコンビニで買ったからこれくらいしか準備出来なかった。
レンジを借りて温めてリビングに戻ると、リモコンを握りしめてAはテレビを凝視していた。
見覚えのあるビルの入り口。
数時間前まで俺がいた場所だ。
リコールになった商品のテロップがひっきりなしに流れ、会社の責任を問う報道関係の人や車でごった返している。
ユノ「…少しでも食べられそうか？」
A「ユノ…これ…」
ユノ「…そうだよ。うちの会社。ちょっと今ややこしい事になってて。説明するよ。食べながら聞いて？」
Aは言われた通りにやって来てダイニングテーブルの椅子に座った。
その向かいの椅子に座ると
ユノ「はい。召し上がれ！」
温めたお粥を差し出した。
風呂上がりでどことなく気だるさを纏うAは色っぽい。
A「リコールって…大変なことなんじゃ…」
ユノ「うん。うちの関連会社が作った商品なんだけどさ。発火の恐れがあるから出来るだけ早く回収しなくちゃいけなくて。」
A「それでさっきからずっと電話が鳴ってるのね。」
ユノ「大丈夫だよ。重要な電話には後でかけ直す。Aは気にしなくていい。ほら、食べて？フルーツ美味しそう。」
そう言って、オレンジをひと口パクりと食べて見せた。
A「そんな時にごめんなさい。迷惑かけて…」
ユノ「俺こそごめん。メールに気がつかなくて。何があっても迎えに行くつもりだったのに。」
A「ユノ…もう私は大丈夫だから…」
ユノ「久しぶりに会えたのに、そんなに寂しいこと言うなよ。Aがきちんとご飯食べて、薬を飲んで眠ったら帰るよ。」
A「うん…」
ユノ「仕事はどう？順調？しばらくは休めるのか？」
A「チャンミンが明日帰ってきたら撮影した写真の選別作業が始まるの。シウォンさん…あ、カメラマンさんの都合で韓国でやることになって…でも家に帰れないなんて事は無いと思う。」
ユノ「そっか。30分でもいいから毎日会いたいな。ここに引っ越して来ようかな？」
A「…」
ユノ「どうしてそんな悲しそうな顔してる？日本で何かあったのか？」
A「…ユノ…キスして欲しい。」
ユノ「A？」
みるみるうちにAの瞳から涙がこぼれた。
.
274)らしくない< YN side>→←272)キスして欲しい1< You side>
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 345人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「東方神起」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：mari
| 作成日時：2018年11月4日 1時
