264)今見た光景< You side> ページ14
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渋滞はテレビ局の中継車が路上駐車していた事が原因だった。
何かあったのかな？
あれ？
このビルって確かユノの会社？
報道の腕章を付けた記者や、野次馬でビルの前はごった返していた。
ノロノロと進む車がビルの正面近くに来たとき、見覚えのある顔が視界に入る。
A「あっ！… ユ…」
榊「ん？」
ユノだ！
見間違える筈はない。
周りから頭一つ飛び出して、見覚えのある黒いスーツをだった。
着ているコートで女性を隠すようにして記者を振り切り、停まっていた黒塗りの車に二人で乗り込んだ。
…え？
あれは…あの女性はソヨンさん？
完全に停まってしまった榊さんの車と、反対方向を向いた黒塗りの車がゆっくりとすれ違う。
後部座席に座ったふたりは寄り添っているように見えた。
A「…」
榊「どうした？知り合いでもいたか？」
A「いえ…なんでもありません、」
今見た光景は、いったい何だったのだろう？
どうしてソヨンさんと？
ビルの前を通りすぎると嘘のように渋滞は無くなり、あっという間に自宅の前に着いた。
榊「明日にはチャンミンも帰ってくる。詳しい報告はそれから聞くから、今日はゆっくりと休め。じゃあな。」
A「はい…ありがとうございます。」
榊さんと別れてエレベーターに乗り込む。
6階で降りて自分の部屋の前に立った。
暗証番号で開錠して中に入ると、3週間前にユノに見送られた玄関。
《仕事、精一杯頑張っておいで。応援する。》
撮影するアーティストが元彼のジェジュンだとわかっても
嫉妬してると言いながら応援すると送り出してくれた。
A「はぁ…」
なんだか急に体が重くなる。
立っているのもしんどくて、荷物を置いたままソファーに座ってテレビをつけた。
こんな時間だから、たいした番組もやっていない。
一度座ってしまったら、立ち上がるのもおっくうになってしまって。
そのままゴロンと横になる。
意識を手放すまでそう時間はかからなかった。
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作者名：mari
| 作成日時：2018年11月4日 1時
