246) 偽モデル1< You side> ページ46
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既に撮影準備を終えている現場に、芸能人でも無い偽物のモデルが一番最後に入るなんて本当はあり得ない話なんだけど
出来るだけ顔を晒すリスクを減らすために、チャンミンが考えてくれていた。
A「本当に…誰もいない。」
どんなに撮影場所をシークレットにしていても、このSNSの時代、直ぐにバレて人は集まってくる。
なのにここには見た限りスタッフさんしか居なかった。
スタッフ「凄い厳戒体制ですねぇ…まるでラブシーンの前みたいな…」
A「…」
私とジェジュンの過去など知らないはずのスタッフさんの冗談がまともに刺さる。
スタッフ「さぁ、直ぐに撮影開始らしいから、行きましょう。」
待たせてしまっていたスタッフさんに、ひとりひとり頭を下げる。
このマスクのお陰で動揺しっぱなしの表情も見えなくて。
本当に良かった。
A「お待たせしました。宜しくお願いします。」
シウォン「さぁ、始めるぞ！」
メイクを終えたジェジュンが、こちらに向かって歩いてくる。
爽やかなラベンダー色の衣装のなのに最後の撮影だからか、いつも以上のオーラを纏って。
じっとこちらを見たまま視線を反らさず。
…視線がそらせない。
ジェジュン「撮影…最後だな。」
A「う、うん。宜しくね。」
ロケする場所は結構な急勾配の階段で
階段に座る時には、真後ろからの撮影は物理的に難しいから、顔が映らない角度で横向きも撮ると言う。
私たちはカラフルな階段に座って、たわいもないお喋りをしたりと、どちらかと言えば高校生のデートのような爽やかなイメージのシーンだった筈なんだけど
シウォン「おい。なんだよ別れ話するカップルみたいだぞ。もっと楽しそうな顔しろよ。」
いやいや、私の表情は関係ないし！
そんな風に心の中でツッコミを入れていると
ジェジュン「シウォンさん。好きに動いていいですか？」
そう言うと、私の手を取って立たせた。
A「え？」
シウォン「いいよ。階段に座って撮るのは最後にしよう。それまで階段を使って好きに動いて。」
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作者名：mari
| 作成日時：2018年7月7日 0時
