154)優しくて甘い1<You side> ページ4
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それはちょっとした興味だった。
仲の良い自分の両親が、かつて恋人同士だった時にどんなデートをしていたのか。
《洒落たデートコースなんて俺にはわからないし。母さんの行きたい所に言って、やりたい事を一緒にやるのがいいと思ってな。》
父の言った言葉が少しだけひっかかって。
それは何故なのかその時にはわからなかったけど。
A「それで、お母さんは何がしたかったの？」
母「お母さんは別に、映画でもドライブでもお父さんと一緒にいられる理由さえあれば何でも良かったわよ。そんなものでしょ？デートなんて。」
父「男はそうはいかないだろ？喜んで欲しいしメンツだってある。」
A「そんなもの？」
父「そんなもんだ。」
久しぶりの父との晩酌に少しだけ元気を取り戻して、明日に備えて早く寝ようと自室に戻った。
スマホを握りしめたまま、ベッドに腰をかける。
時計を見ると21時。ユノはまだ仕事をしてるだろうか。
A「出なかったら、留守電におやすみだけ言おう…」
意を決してスマホをタップしてみる。
ドキドキ心臓がうるさい。もう片思いじゃないのに、なんでこんなに緊張してるんだろうと笑ってしまうけど。
スマホ画面には《話し中》の表示がされ
やっぱり忙しいんだと思い、あきらめておとなしくベッドに入った。
目を閉じて1分もしないうちに、スマホが鳴り出す。
A「っ…ユノ！？」
目を閉じたら数秒で夢の世界に行ってしまいそうだったのに、体が反応して跳ね起きた。
A「もしもし！ユノ！？」
ユノ「A？電話くれただろ？待ってた！いつかかってくるかと思って！」
A「仕事中じゃなかった？」
ユノ「まだ会社だけど大丈夫。いつでもスマホは持ち歩いてる！」
A「…」
電話の声はいつもの声よりも少しだけ低く聞こえるんだな。優しくて甘い。聞きたかったユノの声。
思わず泣きそうになる。
ユノ「A？どうした？大丈夫か？」
A「…うん。大丈夫だよ！」
ユノ「忙しいんだろ？A、無理してない？」
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作者名：mari
| 作成日時：2018年4月19日 23時
