096)聞きたいことと言いたいこと<YN side> ページ45
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ドンヘ「俺はこれから朴さんと飲みに行くからよぉー!悪いんだけどお前たちタクシーでホテルに帰って?」
それは、ドンヘが俺にくれた時間。
A「私はひとりで帰れますから、皆さんで行ってきて下さい」
そんな事言われて、一人でなんて帰すわけないだろ?
レストランで呼んでもらったタクシーに乗り込んでホテルを目指す。
話したいことは沢山あるのに言葉が出てこない。
気がついたら、ホテルに着いてお互いの部屋の前にいた。
A「……ユンホさん。今日はお疲れ様でした。契約上手くいって良かったです、本当におめでとうございます。」
ユノ「うん。ありがとう。あのさ…」
あの時、安藤様になんて言ったの?
ユノ「いや…何でもない。ゆっくり休んで。明日はお宅まで送ってくよ。」
いざとなったら聞く勇気が出ない情けない俺。
A「ありがとう。ユンホさん…じゃおやすみなさい。」
ユノ「…おやすみ。」
パタン…
Aさんの小さな背中を見送った。
ユノ「はぁ…」
気を取り直して自分の部屋の鍵を開け、中に入る。
大事な契約書を金庫にしまって
上着も脱がずにベッドの上に横たわり目を閉じると、さっきまで隣にいたAさんの顔が目に浮かんだ。
「…」
「…」
ユノ「っ…駄目だっ!」
勢いよく起き上がると、部屋のキーを持って部屋の外に出た。
Aさんの部屋の前
2回躊躇して、3回目にやっと押せたチャイム。
《どちら様ですか?》
ドアの向こうから聞こえる少し曇ったAさんの声に
ユノ「俺です。ユンホです。」
そう答えると、ゆっくりと静かにドアが開いた。
A「ユンホさん?どうかしましたか?」
結わいていた髪をおろしているだけでドキッとする。
ユノ「Aさん。聞きたいことと言いたい事があるんだ…」
少し間が空いて
A「私も聞きたいことがあります。」
そう言ってドアを大きく開けてくれた。
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作者名:mari | 作成日時:2018年1月31日 23時