037)再会1<YN side> ページ37
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ユノ「どういうことだ?」
部下「すいません部長!通訳を頼んだ女性が年末の交通渋滞で遅れていて!」
ユノ「通訳無しじゃ話にならない!どれだけ大事な接待だかわかってるだろ!代わりの人間を手配しろ!あと30分しかない!」
部下「はい!す…すぐに!」
ドンヘ「まぁ、落ち着けよ!ユノ。」
ユノ「落ち着いてられるか!一年以上かけてやっと口説き落としたんだぞ!」
冗談じゃない。
この日のために俺の大事な部下たちは寝る間も惜しんで準備してきたんだ!
日本の大手企業とのプロジェクト。
候補にも無かったうちの会社をパートナーにしてもらうために、どれだけ苦労したことか。
最終日の今日は先方の最高責任者と日本料理屋で会食。
そこで合意が取れれば全てが上手く行く筈だったのに。
ユノ「もう一度内容を打ち合わせしよう。出来るだけ時間を引き伸ばせ。通訳を代打でも話せるようにわかりやすく変えるんだ。」
部下「わかりました。」
少し頭を冷やそうと、部屋を出て店の外に向かう。
店の玄関を出たところで、同じように接待されたんだろう団体の客がいた。
「キム様。本日はありがとうございました。日本の料理はいかがでしたか?」
「とてもおいしかったよ。榊さんに宜しく伝えてください。」
「はい。気をつけてお帰り下さい。」
そんな韓国語のやり取りが聞こえた。
客をタクシーに乗せ、深々と頭を下げている女性にどこか見覚えがある気がして。
タクシーが行ったのを確認して頭を上げた女性の顔を見て、俺は心臓が止まるかと思ったんだ。
ユノ「Aさん!?」
自分で思っていたよりも大きな声が出てしまい、自分に驚いた。
A「えっ!?チョンさん??」
Aさんも固まって目を丸くしている。
きっちり着こなしたビジネススーツに、ひとつに結わいた髪。
あの時とは全然雰囲気が違った。
ユノ「Aさん…また会ったね。」
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作者名:mari | 作成日時:2017年12月26日 0時