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036)傷<You side> ページ36

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見た目は小さいけど意外と深そうな。



この手のひらの傷は私みたい。




じわじわと少しずつ血が出てくる。









家に帰ると綺麗に手を洗って絆創膏を貼った。








テーブルの上にはジェジュンが置いていった小さな紙袋。



開けるのが怖くてそのまま置いてあった。







《あのプレゼントもお前の為に作ってもらった。》









ジェジュンがわからない。



私を突き放してみたり引き寄せてみたり。



付き合い始めてから、友達の頃には無かった壁がどんどん高くなっていった。




華やかな世界に居るジェジュンと、一般人の私の間にある壁。








自分に自信が持てない私はどんどん卑屈になって遠慮がちになっていった。




誰にも言えない関係はジェジュンの中でも息苦しさを増していったのだろう。





私もジェジュンのプロモーション以外の仕事も増えてきて、会えない日が続いた。








立っているだけで華になる。

そんな人だからモテない訳は無くて。





売り出し中のアイドルや女優さんの売名行為に利用されることもよくあった。



本人は「よく有ること」と笑ってたけど、私の小さな傷は少しずつ少しずつ深くなっていった。







毎日のようにSNSは私の知らない華やかな世界を映し出す。



ジェジュンの隣に並ぶ美しい彼女たちに最初こそ嫉妬もしたけれど



嫉妬したところで追いつける訳もない自分が嫌でいつしかそれも見るのを止めた。







ジェジュンが来るのをずっと待ってる。



そんな毎日に耐えられなくなった。







いつしか


《友達に戻りたい》


そう思うようになっていた。









A「…」







テーブルの上の紙袋を手に取ると、中に入っていた小さな箱をそっと取り出した。




綺麗にラッピングされたその箱は、まるで春の星座みたいにキラキラしている。








ゆっくりと包みを開けて、箱の蓋を開けると




A「ジェジュ…」




箱の中にはピンクサファイアで作られた桜の形のピアス。






A「これ…」




あの時の桜だ。





ジェジュンの恋人になったあの時の。





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作者名:mari | 作成日時:2017年12月26日 0時

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