あなたがやっぱり好きでした 2【N.K】 (ページ42)

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想像以上のページ42

圧倒

今私の中にあるのは

この二文字のみ。

そして多分

それは私だけじゃなくて

この教室の中も

この言葉にだけ支配されてる。

シーンの練習がはじまってからというもの

誰一人として口を聞かず

食い入るように

演者たちを見てる。

「誰だお前は」

二宮くんがセリフを言うたび

ただでさえ緊迫感に溢れてる教室の空気が

さらにピンと張り詰める。

怖い。

本当に野獣だ。

そこにいるのは

傲慢で自己中心的で今にも暴れ出しそうな野獣で

いつもの二宮くんが

いない。

そんな中

唯一表情を緩めてるのは

二大王。

固まってる私たちを見て

満足げに頷いたあと

「はいカットー！」

松本くんが声をかけた。

「カットって。

映画監督か何かですかまっさん」

すかさず飛んできたツッコミの

声の出どころの方を向く。

二宮くんが

いた。

「なに皆見てんのよ

俺の顔になんかついてる?」

…うん。

二宮くんだ。

我ながら

そんなよくわけのわからないことを考える。

そんじょそこらの子役の演技力なんて

ゆうに超えてるだろうってレベルの

彼の演技に

発するべき言葉がおもいつかない。

私の語彙力じゃ無理だ。

この二宮くんと

私が並んで演技とか

月とスッポン並みだし。

ああ…

どうなるんだろう…。