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堂々と ページ29
「問答無用。
Aさんはここで、皆に実力を見てもらうの。
なんてったって主役なんだから」
皆の前でやらないといけないって
それも十分私にとっては
インパクトのあるセリフなんだけど
なんてったって主役。
この言葉が
思いっきり私に突き刺さった。
だって
それが現実、だから。
うん。
観念しよう。
オーディションの時みたいに
開き直って
堂々とやればいいんだもん、ね?
「…やるよ?」
聞いてくる櫻井くんに
浅めに頷いた。
二人は良かったって顔をする。
「んじゃね…
まずここ」
松本くんがさしたのは
冒頭の
ベルが街の人たちに
変人だと噂されるシーン。
そんなことに構わずに
ベルは本を読みながら
自分の世界に入り込んでいく。
「このシーン。
出てくる人、自分の台本みて自分のセリフ言ってくれない?お願い」
他の人も一緒に読んでくれることがわかって
ちょっと安心。
「用意。はじめ」
櫻井くんの合図で
交互にセリフを言っていく。
静まり返って
皆が私に注目してる中
私の声は
私の演技は
皆に
どう捉えらてるんだろう。
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作者名：りぃん | 作成日時：2017年8月26日 11時
