皇帝とキング �� ページ8
スタッフとヴィクトルが話している間に、ストレッチを海咲と一緒にした勇利は、ぽかんとするユーリにどうかしたの？と尋ねる。
「海咲って・・・・本当に柔らかいんだな」
リリアが欲しがるはずだと言えば、ヴィクトルが海咲は体幹もバッチリだよ？と笑う。
「海咲もフィギュアやれば良かったのに」
「んー・・・・・・ヴィーのを見るのは好きだけど、やるならダンスの方が好きだったから」
地元のダンスグループに所属してた事もあるよ？と言えばヴィクトルは知ってるよ、と苦笑する。
「俺、その場で見たかったなあ」
「地元の祭りの余興程度なのに、呼べないよ〜」
あはは、と笑う海咲に、ヴィクトルはそういえば俺の家に海咲が大学の時のビデオがあるよ、と思い出して言うと、途端に海咲の顔が強張った。
「え、何で？何故あるの？？」
「咲香マーマがくれたんだよ」
海咲、大学の時舞踊部に所属してたでしょ〜？と言われ何故知っているのかと悲鳴を上げる。
「リズムダンスと新体操と日本舞踊してたって聞いたよ」
「所属っていうか、有志の集まりだからその時々でメンバーもやる競技も変わるんだよ」
ボランティア部の様な物だと首を振る。
「そうなんだ？」
海咲のチア姿、可愛かったよ？と言われ赤面するのを目を細めて抱きしめキスをするヴィクトルに、勇利はそそくさと離れて今度はジャンプフォームの確認をする。
「・・・・慣れてやがる」
あれ、大丈夫か？とヤコフを振り向けば、リリアに背を撫でられており頭を抱えていた。
「何故だ、何故全く成長しない！？」
「諦めなさい、あれが限界なのですよ」
むしろ、今まで大人になろうと頑張っていたが危う過ぎて心配だったのですから、今ののびのびとした姿の方がまだマシだと言っているリリアに、あれがマシなのかと遠い目をする。
(この間の試合だって、ちゃんと大人の振舞い出来てたじゃないか
・・・・何故あれが出来ねえんだよ！！)
まるでマザコン・・・と思いかけて、今までヴィクトルの応援に家族が来た所を見た事が無い事に気づく。
唯一来ていたのは日本人の夫婦で、その二人にはまるで子供の様に甘えていたが。
「ヤコフ、アイツの家族は何も言ってないのか？」
「ヴィーチャの家族は海咲だけだぞ」
「は？」
「詳しい事はアイツに聞け」
機嫌が良けりゃ教えてくれるだろ、と言われユーリは何だそれ、と首を傾げた。
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作者名：若桜 | 作成日時：2018年1月7日 22時
