кукла （人形） �� ページ35
海咲の迫力のある笑みを直視したミラはガクガクと震えるが、ユーリは結局爺の醜い嫉妬じゃねぇかと呆れる。
微笑みを浮かべる海咲の横で震え上がる勇利はオロオロとしているが、緊張はない。
「えーと、海咲ちゃん寒くない？」
「うん、大丈夫。ありがと〜」
うふふ〜と目が笑ってない笑顔を向けられ勇利は心の中でヴィクトルの馬鹿―と叫ぶ。
さっきから海咲のスマホにはヴィクトルからの連絡が入っていたが、全シカトをかます海咲はいっその事ブロックしようかな・・・と呟き始めたので取り上げて勇利のポケットの中で振動し続けている。
「勇利君、そんなに怯えないで？
私が怒っているの頭がお花畑な人だけだから」
「う・・・うう・・・・」
その人僕のコーチで君の夫だよね！？と思うがとても言い出せる雰囲気じゃない。
だけれど、そこまで怒り狂う海咲を前にヤコフもリリアも気にせず寛いでいる様子に何でー？？と心の中で絶叫する。
「勇利、ヴィーチャと海咲の喧嘩は何時もこんなもんだ。
ヴィーチャが怒らせてアイツが泣いて縋って謝っても海咲は許さん。
しかも詫びの花や物でも渡せば更に怒り狂うから手も口も出すな」
拗れて被害が甚大になると言われれば確かにと頷く。
「英治君と喧嘩した時と一緒か」
「お兄ちゃんとアレは同レベル」
もう、名前すら呼ばない海咲に勇利はあはは〜と遠い目をするしかない。
だが、そう断言した海咲に安心もした。
(英治君に怒った時と同じなら、周りに被害はない・・・よね？)
海咲が怒るときは攻撃対象は一人で、周りには気迫が凄いと言われるくらいで実害はない。
だが、一切返信のない海咲に焦れたヴィクトルは勇利のスマホにも連絡を入れて来るが怖くて返せなかった。
リンクに着くと、すぐさまアップしていると良哉が入口で待っていてくれた。
「よぉ坊主」
「こんにちは」
「応援に来た。
あと、あの馬鹿は海咲を怒らせたな？」
久々に鶏冠来とる(頭に来ている)海咲を見るな、と高みの見物な発言に苦笑する。
「ま、ほっとけばあいつらは大体ヴィチューシェカが悪いからなんとなーくで仲直りする。
それよりもお前は自分を信じて楽しんで来い」
ぽんぽん、と頭を撫でられ勇利は苦笑する。
「海咲ちゃんと、似たような事を言うんですね」
「ん？」
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作者名：若桜 | 作成日時：2018年1月7日 22時
