望まぬ別離 �� ページ24
それで、どういう事だとパイプ椅子に腰かけて問えば、同じように座った三人は顔を見合わせる。
勇利は、ヴィクトルを必死な顔で。
海咲は、不思議そうにヴィクトルを見つめ。
ヴィクトルは、海咲の手を握り迷いのある顔で真っ直ぐとヤコフを見ている。
「マッカチンが、饅頭を喉に詰まらせたって連絡が入ったんだ」
「・・・・日本に連れて行っていたらしいな」
「うん。
海咲のいる日本に連れて行ってやりたかったし、一年は確実に会えなくなるなんて可哀想だったしね」
【一年】と聞き、ギクリと体を強張らせた勇利に、ヤコフはこいつはヴィーチャを放すまいと我武者羅に頑張っていたのかと、ユーリが何故駄目だったか悟る。
「それで？」
「僕が、ヴィクトルに日本に今すぐ戻ってと頼みました」
明日は一人で戦うから、海咲ちゃんも一緒に、と言えば
「だから駄目だって、俺は言ったんだけどね」「え？私残るよ？」
「「「え？」」」「ハァ？」
それぞれ、きょとんと首を傾げる三人に、ヤコフはこいつらバカか？と睨む。
「まず勇利。
お前はコーチ無しでどうやって戦う気だ？」
「何とかします」
「フン！
そしてヴィクトル、お前海咲に何も言わずに決めたのか？
そんな事ばっかりしているから海咲に伝わらないと反省したんじゃないのか」
「それは・・・・」
「そして海咲！」
「はい！」
「あんな風にお前は絡まれやすい。
小さい頃から誘拐されかけてるんだ、お前何時か本当に誘拐されるぞ！」
「へ？」
三人をそれぞれ叱ったヤコフは危なっかし過ぎて見て居られん・・・・と大きく溜息を吐く。
「少なくとも、海咲。
お前は日本にヴィーチャと帰れ」
「嫌」
だって、私今回ヴィクトルとロシアに遊びに来たんじゃない。
私は勇利君の応援とサポートに来たんだもの・・・・と強い瞳で真っ直ぐ見つめて来る海咲にヤコフはチラリとヴィクトルを見るが、ゆっくりと頷く姿に此処は成長したらしいと頷き返す。
「・・・・分かった、勇利のコーチは引き受ける。
が、海咲は帰れ」
「何で！？」
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作者名：若桜 | 作成日時：2018年1月7日 22時
