望まぬ別離 �� ページ23
ヤコフに頼み込み驚かれたヴィクトルは理由を言おうと口を開いた瞬間、腰に走った衝撃に振り返る。
「海咲？
・・・・・お前はっ」
見覚えのある男に、ヴィクトルはあぁもう！と重なる不運に一体何なんだ！！と憤りつつもヤコフの肩を掴んでいた手を放し、海咲の体を胸に抱き締める。
「ごめん、ヴィー」
「海咲、偉かったね」
ちゃんと俺に助けを求められたね、と褒められクスッと笑ってしまう。
「あ〜やっぱりぃ・・・・・へへ・・そんな気ぃしたんだよなぁ」
「勇利っ」
「あ、はい！」
「海咲と居て」
「はいっ」
海咲ちゃん、大丈夫？と声を掛けるが海咲がヴィクトルの上着の裾を掴む。
「ヴィー！」
「・・・大丈夫だよ★」
ちょっと彼とお話するだけだ、と真っ黒な笑みを浮かべる彼に、海咲が思わずヤコフを振り返ると頭を抱えていた。
「ヴィーチャ、下がれ」
「でもヤコフ！」
「下がれ」
コーチ命令だ、と言われヴィクトルが口を噤む。
「あれ？やっぱり選手に戻るんですね。
それでそのジャップと一緒に居るのはもしや？」
ニタニタと笑う彼に、怒りを滲ませるヴィクトルの背に海咲と勇利の久々に蔑称聞いたねぇ〜とのほほんとした会話が聞こえてくる。
「蔑称を軽々しく口にするとは、つくづく記者に向かんな。
・・・・あぁ、こっちだ。
不信人物かつ、精神的苦痛を受けた」
バタバタと遅れて追いかけて来た警備員と警察官にそう告げたヤコフは、勇利の腕の中でヴィクトルの上着を掴んで離さない海咲と、海咲と勇利を背に庇い睨み付けるヴィクトルに『こいつらは三人で一つか』、と納得する。
この騒ぎを大きくする前に、とリリアと目配せしユーリと先に行かせ、三人を手近な部屋に誘った。
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作者名：若桜 | 作成日時：2018年1月7日 22時
