望まぬ別離 ページ22
アイツのは良いのか？と聞かれた海咲は良哉に、苦笑する。
「うん、彼がリンク裏に戻る前にヴィーの所に戻らなきゃ」
「・・・・あぁ、何かあったんだな？」
「絡まれた」
何でああいうタイプの人と私合わないんだろうと頭を抱えると、良哉は考えるのは後にしろと機材を片付け背を押す。
「お前は声を掛けやすいからな・・・・富美香と一緒である種の人間ホイホイだ」
「・・・・ホイホイに掛かるのって手が掛かる子ばっかりなのですが」
「三歳で一番厄介なヤツが掛かった時点で俺らは諦めてたよ」
てくてくと歩くと、専用口でスタッフカードを提示して入れて貰うと背後から見た事のある記者が追いかけて来た。
「君！」
待ってくれ、と肩を掴まれる前に走り出す。
(確かこの人、ゴシップ紙の人)
前に、ヴィクトルの靴ひもが緩んでいて結び直しているのを見ていただけで、悪女と書かれヴィクトルが怒り狂い裁判を起こしかけた。
そんな事をすれば折角クリーンな印象の彼に汚点が付くとヤコフが代わりに矢面に立って解決してくれたが、向こうは発行差し押さえの賠償金を言って来たらしい。
その後はよくわからない内に解決・・・というか彼自身が解雇された事で双方共に手打ちにしたらしいが・・・・そんな人に捕まれば不味い事くらいわかる。
「待ってくれ！」
此処で叫べば騒ぎになる。
それに、一人よりも知り合いがいる所に逃げるべきだと選手控えの場所に行けばヴィクトル達か、ヤコフ達のどちらかに合流出来れば何とかなると走り抜ける。
だけれど、走り抜けた先にはヤコフに懇願するヴィクトルと驚きに目を見張る勇利達に海咲は不思議に思う前にヴィクトルに抱き着いてしまった。
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作者名：若桜 | 作成日時：2018年1月7日 22時
