愛しのキキーモラ 7 【ヴィクトル・ニキフォロフ】 (ページ3)

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カップスリーブ　③ ページ3

結局、全力で拒否をしたヴィクトルに海咲が根負けしていたが、そんな二人の掛け合いを見ていた勇利はすっかりリラックスしており、貰ったカップスリーブも早速セルフで置かれていた紙コップにセットして勇利はココア、ヴィクトルがカフェオレ、海咲が紅茶を貰った。

「あったかーい」

「こういうのはありがたいよね～」

のほほん、とした二人にヴィクトルは可愛いなぁと笑う。
子豚と子兎の二人がのんびりと自分の前で寛いで笑っている姿は癒されると思う。
そして、豆腐メンタルの勇利が海咲のお陰でふよふよとくつろげて居られるならそれもまた良い傾向である。

(勇利は考え事するとすぐ転倒するし、試合になるとナーバスになって演技が硬くなるからね)

「おい、ヴィクトル」

「ん？ユリオじゃないか」

ハイ！と手を上げると苦々し気に勇利を睨むが気づいていない。

「かつ丼と海咲と居る時のテメェは腑抜けだな」

「褒め言葉だね」

この二人のこの空気は癒されるだろ？と言われ、ユーリは試合に癒しは要らないと吐き捨てる。

「本当にそうか？」

少なくとも俺は試合に海咲がいるだけでモチベーションが上がると言えば、かつ丼に海咲を貸すのか？と問われ、にっこりと笑い明言を避ける。

「チッ」

「何にイラついているのか知らないけれど、海咲を悲しませたら俺はお前を潰すよ？」

だから、勇利に手を出すなよ？と凄めばそこまで俺は落ちぶれていねぇよと鼻で笑って去っていく。

「・・・・うーん、何かあったのかな？」

此処まで言って置けば、勇利に何かしてくるって事はないだろうが・・・と考え、ヴィクトルはユーリはそんな子じゃなかったなとやっと気づく。

(俺も、この会場に入ってピリピリしていたみたいだな)

海咲がいたからか、表面に出ていないだけで周りに牙を剥きそうになるなんて俺もまだまだだな、と判断し二人を見るとまだふわふわとした空気で話して居る。
その話題が、この前自分が三人お揃いで購入したポーチの使い道になって思わず身を乗り出してしまった。