子は鎹 �� ページ46
「ヴィーチャ、それで？」
「来年の3月には海咲と同居するつもりだよ」
今は海咲の職場と俺の居住地が少し離れているからと肩を竦める。
「俺が海咲の家にでも良いけれど、海咲も勇利も許してくれないんだ」
「通勤に三時間以上なんて、辛すぎるよ？」
そんな風に疲れても実は無いと訴えれば、苦笑したヴィクトルの寂しげな目に気圧される。
「ね？」
「むしろ、そこまでして海咲と居たいのか」
「勿論だよ！ヤコフ。
それに、もう我慢しないって決めたんだ。
我慢しても擦れ違うんじゃ堪らない」
ぎゅっと抱き締めるヴィクトルにされるがままだが、目を伏せている海咲にリリアが声を掛ける。
「海咲は、それで良いのですか？
ヴィーチャだけが得をしている様に感じますが」
「はい、私もヴィーと一緒に居たいので・・・・それに、私の職業は大体どこでも就職は可能ですから」
給与面に不安が多々ありますが、施設に就職も可能なので、と笑う。
「施設・・・ですか」
そこまで考えているのかと言うが、ヤコフは不満そうなヴィクトルに気づく。
「ヴィーチャ、なんだその不満そうな顔は」
「俺、海咲を養う位の甲斐性はあるつもりなんだけど」
ただでさえ、海咲は贅沢しないから貢げないといえばミラはどんだけだと海咲を見るが、その服は全てブランド品で・・・・違和感に気づく。
「その服って・・・・」
「ん？良く似合っているだろ？」
俺が全てコーディネートしたんだ〜♪と笑うヴィクトルに全員がドン引きし、海咲が溜息を吐く。
「ほら、だから必要ないって言ったじゃない」
「でも、似合ってるよ？」
とってもcuteだと笑うヴィクトルに、リリアが海咲なら選ばないセレクトですね、と溢す。
「はい、リリア先生。
私ならシフォンとかを選びます」
「えぇ、そういうイメージです・・・・ヴィーチャ、貴方の趣味を押し付けましたね？」
海咲らしさがない、と言われるがヴィクトルはにっこりと笑って黙殺する。
「男性が好みそうな女性の服ですね」
やれやれ、と首を振るリリアに、ヴィクトルは海咲にはこういう服も似合うのだと頭に頬擦りする。
「キモ・・・・」
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作者名：若桜 | 作成日時：2018年1月3日 23時
