就活、面接、返事待ち �� ページ27
「おい、海咲」
「あ、ユーリ。久しぶり」
「お前、ヴィクトルの後援会社に行ったのか？」
「うん」
「あそことの契約、切れたんじゃねぇのか」
「？どうしてそんな事聞くの？」
「・・・・・別に」
ぷいっと顔を反らしたユーリに、海咲はそういえばユーリは一家の大黒柱としての顔もあったな、と思い出す。
「スポンサーを探してるの？」
「なっばっ・・・違ぇよ！！」
図星だったのか、顔を真っ赤にして否定するユーリに海咲は今季からシニアだもんね、と頷く。
「そういう事は私よりもおじいちゃんの方が詳しいから、話とこうか？」
「え？」
揶揄われると思ったのか、身構えていたユーリはふわりと笑う海咲にぽかん・・・としたあと小さな声で『頼む・・・』と気まずげに顔を顰めながら言う。
「聞くだけしか出来なくてごめんね？」
「・・・・助かる。
正直取り合いだからな」
「そうだね〜・・・・でも、ユーリは頑張っているから、きっと誰かが見ててくれてるよ」
社長さんか、広報部長さんかの目にきっと留まると励ますと僅かにハニカミ勇利に気づき睨み付ける。
「なん「誰かから奪うんじゃなくて、新規開拓するなんて、ユーリは心が綺麗なんだね」
だから、ヴィーはユーリにアガペーを託したんだね、と言われ勇利に何見てんだと文句を言おうとしたユーリは一気に顔を赤くする。
「なっ・・・ばっ・・・お前っ恥ずかしい奴！！」
「そう？だって、大人でそういう人は多いよ？」
だから、ユーリは心が綺麗なんだよ、と言われ、言われたユーリも、横で見ていた勇利もにっこりと笑う海咲に顔を真っ赤にする。
「あ、ユリオだ！」
ただいま〜と笑いながら海咲の体を反転させ顔を胸に押し付けたヴィクトルはにっこりと笑う。
ざわざわとくっ付いてきた記者達は二人のユーリに色めき立ちつつ、腕の中に囲われて抱き締められている海咲にも好奇の目を向ける。
「ロシアに戻って来たお気持ちをお聞かせ下さい」
「現役復帰は何時されますか？」
今度こそお聞かせ下さい！と詰め寄る彼等に、ヴィクトルは作り笑顔を浮かべる。
「GPFが終わるまで、今後の事は一切答えないよ。
今は勝生勇利のスケートに可能性を感じている。
このロシア大会は勇利に注目して欲しい」
目の前にユーリが居るのに、はっきりとコーチとしての回答をするヴィクトルにユーリは苛烈な顔で睨み上げる。
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作者名：若桜 | 作成日時：2018年1月3日 23時
