愛しのキキーモラ６【ヴィクトル・ニキフォロフ】 (ページ15)

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里帰りと就活　～　マトリョーシカ　～　② ページ15

走って来るヴィクトルに、周囲の人が何事かと振り返るのを見て激しく隠れたいと思わず背を向けて座っていると、横の席の男性から肩を抱かれて驚く。

「っ」

「へぇ、日本人だ。可愛いね」

にこやかに笑う銀髪の男は明らかに年下で、細い線の男だが海咲はダラダラと冷や汗が背中を流れるのを感じる。

「趣味も良いし、どっか行こうよ！」

旅行者でしょ？良いトコ知ってるよ～と笑う彼に間に合ってます、と断ると何故か顔を近づけられ反射的に強く胸を押し返し立ち上がると今度は手首を掴まれてしまった。

「ねぇ、そんなに怯えなくても大丈夫だよ」

「放して！」

嫌だ！と拒絶したのと同時に捕まれていた手を叩き落とし背後から抱き寄せられる。

「触るな・・・・この女(ひと)は俺のものだ」

「！？」

遅くなってごめん、という囁きに振り仰ぐと申し訳なさそうなヴィクトルにホッとする。

「ヴィー」

唖然とする男にヴィクトルは人を射殺せそうな視線をくれると、行こうと腰を抱かれ歩き出す。