愛しのキキーモラ６【ヴィクトル・ニキフォロフ】 (ページ12)

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里帰りと就活　～ロシアへ～　⑦ ページ12

「違うよ、富美香。
俺は海咲が欲しいんだ」

海咲と、家族になりたいんだと笑うヴィクトルに富美香ははいはい、と流す。

「貴方はそればっかりね」

「だって、海咲は可愛いじゃないか。
誰かに盗られる前に手に入れなくちゃ」

あんなに可愛い子は居ないよ？と本気で言っている彼に、富美香は腐るほどいるわよ、と肩を竦める。

「あんなに素直で可愛い女の子の孫はあの子だけだけれど。
世界には可愛い子なんてザラにいるじゃない」

「でも、海咲じゃない」

「目が曇っていてよ？」

む～と拗ねるヴィクトルがまるで本当に小さな子どもの様で勇利はふと、ヴィクトルの実家って何処だろうと首を傾げる。
確かヴィクトルの家は独り暮らしだし、家族についての記載はなかった。
あるのは好きな女の子が居るという事と、マッカチンの事、フィギュアスケートの事などだ。

「富美香、それでも俺は海咲以外は考えられないんだ」

「知っていてよ。
そもそも、一目惚れに理由なんてないでしょう？」

あれは本能よ、と肩を竦める富美香にヴィクトルはそうだね、と頷く。

「それで？本当は何しにいらしたの？」

「富美香が怖い」

「怒っても宜しいのかしら？」