愛しのキキーモラ６【ヴィクトル・ニキフォロフ】 (ページ11)

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里帰りと就活　～ロシアへ～　⑥ ページ11

ころころと笑う富美香と話しながら、良哉に怒られて涙目のヴィクトルを見ているとあれで仲良しなのよ、と耳打ちされる。

「え？」

「あの人があんなに怒るのも、注意するのも、ロシア人ではヴィチューシェカだけなの」

海咲とは違った意味でお気に入りなのよ、と言われる。

「ヴィチューシェカの生い立ちってご存知？」

雑誌に書いてあるくらいなら、と言えばそう、と頷かれる。
その、口籠った様子に不安を感じるが富美香はにっこりと笑って特に珍しい事ではないのだけれど、と前置きして親の愛情を知らないのよ、と溢す。

「え？」

「なまじ才能があったからかしら。
あの子が知って居るのは、海咲を通してでしか知らないの」

だから、ヴィクトルは海咲に執着し、失う事に恐怖しているのかも知れないわ、と苦笑する。

「まぁ・・・うちの海咲のお節介のせい、っていうのが9割なんだけど」

うふふ、と笑う富美香は知らない人が泣いていたからと隣に座ったりしないし、泣き止んだらハグって凄いわよねぇと言われ、勇利はコレ聞いて良かったのかな！？と頬を引き攣らせる。

「もしかして、出会いって・・・・」

「そうよ？お節介でしょう？」

小さい頃からお母さんの真似っこするのが好きで、今お母さん代わりの仕事に就いているのだから筋金入りよ？と笑う。

「ヴィチューシェカにとって、家族は憧れで、海咲は幸せの象徴なの」