違和感 �� ページ48
「だけど、俺のその考えは独り善がりだったんだと、この前気づいたんだ」
俺は、結局マーマと同じことをする所だったと空を見上げる。
「多分、それが今胸に刺さっていて、変なんだろうね」
「そっか・・・・それってさ、海咲ちゃん何か言ってないの？」
「海咲が？俺に？？・・・アハハ！海咲には言ってないからね」
恥ずかしくて言えないよ、と苦笑される。
「俺は結局自分だけの特別が欲しかったんだ。
それを全部海咲に押し付けて来ていた。
今までずっと、俺は二つのLを放棄していた事に気づいてさえ居なかった
・・・・・きっと、海咲は気づいていたんだろうね。
海咲はいつも俺に優し過ぎる」
だから、何時も俺は海咲が押しつぶされそうになっていても気づくの遅いんだと自嘲する。
「二つの・・・L？」
「そうだよ〜」
ふふふ〜と笑って答えないヴィクトルに勇利はそう、と頷くだけに留める。
「勇利も、だけど日本人はあまり相手に踏み込まないよね」
「そうだね」
「海咲が、踏み込んでくれていたとしても、多分変わらなかっただろうけど」
「あはは・・・」
あんなにも好きだと伝えたのに恋人にすら慣れていなかったという事実はヴィクトルの中でトラウマに近い物になっており、折につけ恨み節だったり涙混じりだったりする。
「それで、ヴィクトルは悩んでたんだ」
「悩んではないよ？ただ、後悔しているだけだ」
俺は、何時も海咲に助けられているけれど、俺は何時も海咲に選択を迫ってばっかりだと。
「選択・・・・」
「そう、自分は何も失いたくないくせにね」
性質が悪いよね、と落ち込んでいる彼に、マッカチンが心配そうにきゅーんと鳴く。
体を押し付けて慰めようとする彼にありがとうマッカチーンと抱き着くヴィクトルに勇利は凄いね、と呟く。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 60人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：若桜 | 作成日時：2017年12月13日 0時
