裏切り者 ページ37
届けは後からですが、結婚しました、と報告し退職希望を伝えた海咲は突然の掌返しの同僚にそうだよねぇ〜と肩を竦める。
同期の子には置いて行かないでと泣かれ、先輩はあんなにも気さくだったのに突然冷たくなった。
主任に至っては三学期からは副担任になって貰うと言われそうですかと答えた。
今まで辞めて行った先輩後輩が通った道に対し、本当はこれパワハラだよねぇと笑う。
今日が金曜日じゃなければ心が折れていた。
針の筵の職員室から出て来て、すぐさま最寄りの快速が止まる方の駅に向かう。
駅前のターミナルもどきはただタクシーが出て行くための一台分の幅しかないので隣接のコンビニの駐車場に止め、甘い物でもとコンビニに入って絶句する。
「っ」
小ぶりのキャリーケースをひいてイートインに座っていたヴィクトルの前にたくさんの食べ物があり、それを吸い込むような勢いで食べていく姿を、店内の棚の影やレジから女性達がギラギラと狙っている。
「ん？やぁ海咲じゃないか！」
「あ、うん。早かったね」
「うん、一本早いのに乗れたんだ」
勇利から此処に入って居ればすれ違わないと思うと教えて貰ったんだ〜と笑う彼は、何時の間に完食したのかごみを纏めて立ち上がり海咲を抱き締める。
「ただいま〜」
「お、お帰り？？？」
ん？合ってるのかなぁ？と首を傾げる海咲に、ヴィクトルは合ってるよ〜と笑う。
「とりあえず、移動しようよ」
「あ、ちょっと待ってて」
スイーツ買って帰るからと言えば何も言わずにカゴを持ってくれた。
「え？」
「良いから良いから☆」
どれにするんだい？と聞かれそれぞれの好きな物を入れ、ヴィクトルはどれにするのかと言えばオススメは？と聞かれる。
「和菓子ならこれで、洋菓子ならこれ。アイスならこれ」
「ん〜じゃあコレにしようかな」
ぽいっと目当てのモノを入れると、今度はお菓子の所に移動しガサガサと大量のお菓子を入れていく。
「え！？」
「俺、これさっき気になったんだよね〜」
一緒に食べよ？と誘われ思わず頷くと嬉しそうに笑う彼に思わず見惚れてしまう。
「じゃ、ちょっと待ってて」
「・・・・は！？」
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作者名：若桜 | 作成日時：2017年12月13日 0時
