愛しのキキーモラ 4 【ヴィクトル・ニキフォロフ】 (ページ4)

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切子② ページ4

部屋に帰り、明日一番の航空券を取ったヴィクトルは勇利の胸に刺繍された菊花の紋を見て思い出したよと笑う。

「へぇ、確かに小さい頃折り紙結構折ってたなあ」

「本当にそうなんだね」

「うん。
多分実家に帰れば綴ってあると思うんだけれど・・・・」

何を折ったかまではあんまり覚えてないなぁと苦笑する。

「でも、確かに金メダルは折った気がする。
運動会の時の絵を描いた・・・・気がするから」

でも、本当に海咲ちゃん小さい頃からロシアに居たんだね、と苦笑され俺のだよ？と牽制する。

「わかってるよ」

「海咲は誰にも渡さない」

例え愛弟子であるお前でも駄目だよ、と笑うその顔は狩人の顔で、勇利はなんでそんなスイッチ入ってるの～と内心天を仰ぐ。

「あ、海咲ちゃんに連絡しなくても良いの？」

「海咲は今福岡で研修会だって。
だから成田空港じゃなくて福岡空港着の便にしたんだよ」

「あ、今回は近かったんだね」

この前北海道って言ってたよ、と言えばヴィクトルは不思議そうにしていたのでロシアに一番近い日本の場所だよと言えば、あぁなるほどと頷く。

「良哉の家に熊の木彫りを持って来た人が住んでいる所だね」

あの人の作った鍋は美味しかった！と笑うヴィクトルに石狩鍋かな？と思いつつそうなんだ、と相槌を打つ。
一緒にはさみ漬けも作ったんだというヴィクトルに、一体海咲の祖父母はどんな人なんだろうかと勇利は考え込む。
海咲の母方がロシアで、父方が日本。
父方の祖父が常連客だったので良く知って居るが、彼は大工で実家も度々修繕改装でお世話になっているけれど・・・・。

「ロシアの良哉さん？ってどんな人？」

「え？ああ、そうか。勇利は知らないだね」

俺も逆に冬治の事はあまり知らないし、会った事はないので教えて欲しいと言われた。