花束を君に ページ22
いそいそとマッカチンの散歩も兼ねて花屋に向かうヴィクトルに、今度はどうしたのかと聞けばプリザーブドフラワーを頼みに行くんだよ、と微笑まれる。
「へぇ・・・最近多いよね」
「そうだね」
生花はラッピングされてリンクに投げ込まれるが、その中で多いのは萎れたり枯れたりしない一輪のプリザーブドフラワーが多くなっていた。
「持ち帰って貰えるし、何より枯れないからね」
普通、大量の花は持ち帰れず、ホテルなどで引き取って貰う事が多く選手が自分の家まで持って帰る事の出来るものは少ない。
「あ、でもうちの商店街の花屋さんにあった？」
「注文は出来るらしいよ」
昨日料理長に聞いたのだと笑うヴィクトルは、この後郵便局に荷物引き取りに向かうとも言う。
わふわふ！と左右にしっぽを揺らすマッカチンは中国大会の帰りに海咲がプレゼントした迷子プレートを付けている。
その包みについていた海咲の匂いにその包みを速攻で自分のお腹の下に敷いて周囲を威嚇した姿に流石ヴィクトルの愛犬だと家族全員が思ったが、分かってるじゃないかマッカチン！と楽し気に笑う彼にマッカチンだけは嫉妬の対象外だと知れて逆に良かったのかもしれない・・・と、思う事にした。
ロシア語で書かれていた迷子プレートは外されヴィクトルの家の鍵と一緒にしているらしい。
「金属音はあまり好きじゃないみたいなんだよね」
子犬の時に鈴をつけてたら発狂して嘔吐してしまったのだという。
「へぇ・・・・マッカチンの傍で鈴馴らさない様にするよ」
「ん？自分に常にくっ付いてるのが駄目なだけで、おもちゃの鈴は好きだから大丈夫だよ」
わふわふと歩いていたマッカチンは突然振り返りヴィクトルのズボンに体を擦り付けた。
よしよし、と撫でてればすぐに前を歩いて行く様子に、勇利はあれ？とデジャヴを感じ・・・・あ〜と納得する。
(海咲ちゃんに対するヴィクトルの行動そのまんまだ)
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作者名：若桜 | 作成日時：2017年12月13日 0時
