柔よく剛を制す 剛よく柔を断つ �� ページ7
お帰り、とふわりと笑う海咲に、抱き締めようとしたヴィクトルは直前で立ち止まる。
え？と首を傾げた海咲に、抱き締めず頬にキスだけして『シャワー浴びて来るね』と離れた彼がバスルームに消えると、キョトンとしてしまう。
「ねぇ勇利君。
今、私避けられた？」
「え！？
全然避けられてないよね？
寧ろキスされたよね？」
「でも、抱き締めようとした手、止まったよ？」
やっぱり、さっき怒り過ぎてたからかなぁと不安を滲ませる様子に、気のせいだよ、とフォローを入れる。
「でも・・・・」
「ほら、汗かいてたから気にしたんじゃない？」
「ん〜・・・・でも、汗って人間誰だって掻くのに」
「海咲ちゃん、ヴィクトルは格好良い姿を見て欲しいんだと思うよ」
「・・・・・そう」
でも私、ヴィーが楽しそうに笑って居る姿も好きなのになぁと言えば、苦笑された。
出て来たヴィクトルは服も着替えて、髪もセットし終わった格好で出て来ると、勇利も浴びておいでと促し海咲を抱き締める。
「わっ」
「ふふ、さっきは抱き締められなくて辛かったよ〜」
海咲ｖｖｖｖと頬擦りされ、あ、勇利君の言う通りだったと遠い目になる。
「海咲、何で今日も編み込んじゃってるの？」
「だってこの洋服、降ろすとせっかくの襟元が見えないもの」
「しまった・・・・海咲は服によって髪形を変えるんだね」
「え？」
勇利が出て来てもまだ『解いた方が可愛いよ？』と笑うヴィクトルに、解かないと首を振る。
「どうしても？」
「撫でたいなら撫でて良いから。
でも解かない」
「崩れてしまうよ？」
「そんなに撫でるの！？」
「え？当然だろ」
「当然！？」
もー！このままで良い！！と臍を曲げた海咲に、それでも追い縋り邪険にされているのを横目に勇利は朝食のクーポンを持つと『行くよー』と声を掛けた。
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作者名：若桜 | 作成日時：2019年3月12日 21時
