俺の愛しいキキーモラ7【ヴィクトル・ニキフォロフ】～世界フィギュア選手権～ (ページ50)

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ファインダー　⑤ ページ50

ヤコフは、ヴィクトルを背負ったまま歩いて来た海咲と、少し凹んだ様子のユーリを慰める勇利の様子に何があった？と尋ねると、ユーリから睨まれ何となく察する。
苦笑する海咲が抱き着いているヴィクトルの手をぽんぽんと撫でていて、頭を押さえると申し訳なさそうに小首を傾げられる。

「ヴィーチャ、そろそろ海咲から離れろ。
カメラに抜かれるぞ」

「嫌だ、離れたくない」

「ヴィーチャ、海咲に嫌われたいのか」

「絶対嫌だよ！！」

思わずぎゅうっと抱き着いていた腕に力が入り、締上げてしまったヴィクトルは海咲の苦し気な悲鳴に慌てて力を抜いて謝る。

「な・・・・」

「「「な？」」」

「中身出るかと思った」

「ごめん！」「カツ丼、海咲は本当に女か？」「ええぇぇ・・・」

苦しかった～と笑う海咲に、ヴィクトルはあぁもう！と顔を歪ませる。

「ヴィーチャ？」「ヴィクトル・・・？」

「加減できない」

「え？・・・・ひぅっ」

ぎゅうと抱き締められ、硬直する海咲に構う事無く頬擦りしているのに苦し気な彼に、ヤコフはやはりか、と肩を落とす。

「ヤコフコーチ？」「ヤコフ？」

「七年も離れていて、我慢が限界で張りつめた糸が切れた奴が普通な訳なかろう」

可哀想に、求められ貪られ窒息しかけているな、と言われ勇利は慌てて海咲をヴィクトルから取り上げた。