スカーフ �� ページ38
真っ赤になって蹲った海咲に危ないよ、と腰に手を回し立ち上がらせると道の端に避ける。
「海咲」
「はい」
「そんなに、俺にされたら恥ずかしいの？」
「うん」
だって、ヴィー格好良いって自覚ある癖に、そんな事言うの？と睨まれ、にっこりと笑う。
「海咲、俺の事格好良いって思ってくれているんだ・・・・嬉しいな」
俺、海咲以外の人間に格好良いって言われても嬉しいけれど、幸せな気持ちにならないんだ、と目と目を合わせる。
「海咲が俺を意識してくれて嬉しいよ」
やっと、『ロシアのお兄ちゃん』から抜け出せた？と言われ、噴き出す。
「も〜まだ言って居るの？」
「言うさ。
だって、俺は海咲の彼氏と婚約者になったのに、甘えてくれなかったし。
結婚してからは我儘言ってくれるのかな？って楽しみにしていたのに、海咲の我儘聞かせてくれないし」
海咲の言って居るのは、我儘じゃなくてお願いって気づいてる？と言われきょとんとした顔が帰って来る。
「・・・・・え？」
「海咲って、我儘言わないよね。
もっと我儘言わなきゃ！」
「・・・・・じゃ、じゃあ」
「ん？」
「だ・・・・」
「だ？」
「だ、きしめて」
真っ赤になりながらふるふると手を伸ばす海咲に、今度はヴィクトルがきょとんとなる。
「え？」
「っやっぱいい！」
涙目で手を下ろした海咲に、ヴィクトルは慌てて抱き締め逃げ出そうとしたのを止める。
「しなくて良いっ」
「・・・・ハァ、海咲それはお願いだと言ったよね？
それに、抱き締めるなんて俺がしたい事だから我儘じゃないよ」
も〜海咲の考える我儘まで可愛いなんて反則だ、と耳元で言われ、真っ赤になって涙を流す海咲に、羞恥心強過ぎるよ、と苦笑した。
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作者名：若桜 | 作成日時：2019年3月12日 21時
