マーケット �� ページ31
(海咲の全てを独占したいのに、海咲は俺以外の世界をすぐに構築するんだね)
今も、すぐにこのマーケットの中に溶け込めるほど海咲の心はしなやかで、ヴィクトルは手を繋いでいる筈なのに、飛んで行って仕舞いそうだと込める力を強める。
「ね、ヴィー！
あのガラス球が浮かんでいるのって何？」
「ん？あれは・・・・
あぁ、ガリレオ温度計だよ」
「ガリレオ？ガリレオってあの？」
「そう、ガリレオ・ガリレイが作った「サーモスコープ」が原型らしいよ」
へぇ・・・と驚く海咲の眼に、吸い込まれそうだと微笑む。
身長差の所為で、見上げる海咲の視線上には自分しか居なくて、その瞳に自分しか映っていない。
「ヴィーってすっごい博識だよね！」
「ん？そうかな？普通だよ」
俺、一応大学出たしね？と笑うと勇利が知っている！ヴィクトルって結構有名な大学出てるよね！と興奮する。
「ん？でも国内の大学だからね」
「でも、ストレートだろ？凄いよ！！」
「Спасибо,でも勇利もだろ？」
「僕は一応保険で教育科で教諭免許取っただけだよ」
将来的には高校の先生までなら出来る、という勇利に、凄いね！と海咲が言うと、逆に子どもの世話と教育をする幼稚園の先生も十分凄いよ！と返される。
「同じ命を扱う仕事なのに、僕排泄援助、出来る気がしない」
「うん、慣れだよ？慣れ」
くすくすと笑う海咲に、ヴィクトルはごめんね、と溢す。
「え？」
「ごめん、俺教育学部じゃない」
「良いんじゃない？
だって、その分ヴィクトルは私達が知らない世界を知っているでしょ？
いろんな人が居るから楽しいんだよ？」
同じじゃないといけないなら、子孫を残すんじゃなくて、分裂していった方が楽でしょ？と言った海咲に、ヴィクトルはポカンとした後爆笑する。
「な、なんだいソレ！
俺、その発想は無かったな」
「だよね、コレ子どもの受け売りｖ」
その子のお父さん陶芸家なんだけどね、と笑う。
「科学者じゃないんだ？」
「うん」
同じ素材が手に入らないなら、大目に粘土を捏ねてしまった方が賢いんだって〜と笑う。
「同じ素材で夫婦茶碗つくりたいなら、って職場体験の時言われたの」
「へぇ・・・・夫婦茶碗か。
良いね、それｖｖ」
俺達もその茶碗買いに行こう？と言われ、頷く海咲が可愛いと抱き締めた。
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作者名：若桜 | 作成日時：2019年3月12日 21時
