俺の愛しいキキーモラ7【ヴィクトル・ニキフォロフ】～世界フィギュア選手権～ (ページ27)

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Con Te Partirò(コン・テ・パルティロ)　③ ページ27

怯える勇利を尻目に、俯いて嫌い、大っ嫌い、ヴィーの馬鹿、と呟く海咲に、ごめんね？と言いながら逃げられない様にと指と指とを絡めて手を繋ぐヴィクトルは羞恥に染まる海咲を見たかったとは口が裂けても言えないな、と言葉を飲み込む。
流石に、それを言うと海咲の怒りを再燃させるだけだし、海咲を怒らせたいんじゃなくて可愛がりたいのだ。

自分にとって、
海咲は優しい光で包んでくれる月。
海咲は暖かな温もりで包んでくれる太陽
自分と共に、ずっと、ずっと傍に居て欲しい最高の女性。

自分が失った家族を与えてくれて、
自分が失くした愛を注いてくれて、
自分が欲しかった優しさを変わらず伝えてくれて、
自分がどんな栄光も名声よりも欲しかった自分だけの女性。

それなのに、

「ヴィーって、意地悪」

「海咲は、ちょっと俺を舐めてるよね？」

「え？」

ビクッとする海咲に流し目をすれば怯える表情ににっこりと笑ってみせる。

「海咲は、俺が海咲を好きって事舐めてるよ？
俺は許されるなら海咲をずっと腕からはなしたくないし、ずっと触って居たい」

触(ふ)れていたいじゃない、触(さわ)っていたいなんだと言われ、その言葉の違いが示す言葉の重みに絶句する。

「多分ね、海咲。
俺は海咲が思っている以上に海咲に狂っているよ」

そして、その事がこんなにも幸せなのだと笑うと、怯えるどころかきょとんとして抱き締めてそっと背を撫でてくれる。

「ヴィー、落ち着いて？」

「俺は落ち着いているよ？」

「うん、ちょっと恐い」

「怖くないよ、俺は海咲を傷つけない」

「周りは？」

「壊れてしまえば、良いのにね？」

「ヴィチューシュカ、私は此処に居るよ？」

「っ海咲・・・もう離さないから」

二人でずっと死んでも一緒だよｖｖと言われ、うんうんと頷いてくれる海咲にヴィクトルは嬉しそうに笑った。