俺の愛しいキキーモラ7【ヴィクトル・ニキフォロフ】～世界フィギュア選手権～ (ページ19)

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食の擦り合わせ　② ページ19

呼ばれて戻ると、楽しそうにくすくすと笑って居る海咲がごめんね？と言うが、今朝の怯え切っていた時と違い、ふわりとしたいつも通りの柔らかな雰囲気に、勇利は落ち着いている・・・と驚く。

「ごめん、勇利君のコーチなのに独り占めしちゃった」

「え、別に良いんじゃない？
僕のコーチだけど、リンク外では海咲ちゃんの夫でしょ？」

「その前に、俺海咲に独り占めして貰えてないけど」

「え？」「は？」

ムッとしている彼に首を傾げていると、だから！俺は海咲に独り占めして貰えてない！ともう一度言われるが意味が分からない。

「え、今めっちゃヴィーの事独り占めしてたよね？」

「何処が？
全然、全く、少しも独り占めじゃないよね？」

独り占めってもっと貪欲で強欲で狡猾で・・・と形容詞が続いて行く彼に、海咲が首を更に傾げると不機嫌そうに鼻を鳴らした彼に抱き込まれる。

「ヴィー？」

「勇利もだけれど、俺は世界から勇利に奪われてないし、俺は海咲に独り占めして欲しいのに、全然二人とも足りない。
もっと俺を必要として欲しい」

二人の為なら、俺が出来る事全てしてあげる、と言われ勇利は顔を真っ赤にするが、海咲は一番近い所に居させてくれるだけで嬉しいよ？と返してしまう。

「足りない」

「でも・・・・私はそれだけで幸せなのに」

「俺は全然足りない・・・・
海咲はもっと貪欲になるべきだ。
何時も優し過ぎる」

俺、海咲の涙は好きだけど、悲しみの涙だけは見たくない、と言われ目を張る。

「え？」

「だから、今日はいっぱい笑って泣いて貰おうかな★」